コロナ後の人生

2022年05月31日

成長する製紙業「多様性」へ戻る紙の世界

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新型コロナウイルスの世界的な流行によって私たちの日常のさまざまなことが劇的に変わりました。その中の1つに「紙」の利用があります。数年前からすでにデジタル化、ペーパーレス化で使用量が減ると言われてきた。これが外出自粛やテレワークによってそのスピードが速りました。

確かに「書く」「情報を印刷する」という目的のための新聞紙や印刷などグラフィックペーパーの需要は減少傾向にあります。しかし、需要が増加しているセクターもあります。

製紙業では「古紙」と「木材(パルプ)」を原料に、それぞれを単独で用いたり、または配合したりしながら各種の「紙・板紙」製品を生産している。原料の内訳は約6割が「古紙」、約4割が「木材(パルプ)」であります。

(図表:パルプ)

(出典:Wikipedia)

「紙」ではティッシュペーパーやトイレットペーパーといった「衛生用紙」の需要が拡大しました。「エリエール」ブランドで知られる大王製紙株式会社3880)は「衛生用紙」でトップシェアを誇ります。商業施設や医療福祉施設などの法人向けの販売が中心だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で人々の衛生面の意識が向上し、家庭向けの需要が増えています。海外でもCOVID19の発生が病院からのティッシュペーパーといった「衛生用紙」の需要を高めています。米キンバリークラーク社(KimberlyClarkCorporationはCOVID19対策のためにトイレットペーパーの増産と寄付を行いました。

「板紙」では「段ボール原紙」の需要が増加しています。オンライン・ショッピングの利用増加が背景にあると考えられる。具体的には、段ボールやクラフト紙袋といった包装の需要が拡大しました。さらにここ数年CO2排出量に対する懸念が加わったことで、化石由来の包装材に変わる素材として期待されている。昭和パックス株式会社3954は産業用包装資材のトップ・メーカーであります。

そして「紙・板紙」と並ぶ次の柱として期待されている素材の1つがセルロースナノファイバーCNF)だ(参考記事)。木を構成する繊維をナノレベルまで細かくほぐすことで生まれる最先端のバイオマス素材であります。たとえば、日本製紙株式会社(3863)はセルロースナノファイバー(CNF)の技術開発、用途開発を進めています。

植物由来の素材で鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度等の特性を有するためCO2の効果的な削減が期待されています。

(図表:行灯)

(出典:Wikipedia)

今、製紙業界は続々と変わっていっている。ペーパーレス化が進み、求められる商品が変わっています。従来の「書く」「情報を印刷する」紙から「包装」「産業用包装資材」といった新たな用途へと移行し、石油由来に変わる新たな素材を開発しているといった条件を満たしている企業が注目されます。

世界の歴史を遡れば、原初の紙はもともと「包む」ためのものでありました。その後、筆記可能な紙が開発されることによって「書く」「情報を記録する」「伝達する」という用途が加わりました。江戸時代には襖や和傘、扇子、提灯などといった建築・工芸材料でもあった。製紙業が衰退していると考えるのは「紙」に対する現代の私たちの認識の狭さから来ているだけであって、紙そのものの利用可能性はまだまだ思いがけないところに転がっているのかもしれないです。







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