2021年07月13日

文明の盛衰まで左右した「カカオ」。現代ではマーケットを左右する!?

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コートジヴォワールとガーナが世界のチョコレート市場の2大プレーヤーである米ハーシー(Harseys)とマース(Mars)に1トンあたり400ドルの割増金(DRD、Decent Income Differential)を課すことに成功しました(参考)
この西アフリカ2か国だけで世界のカカオ生産量の60%を占めています。
世界のココアおよびチョコレート市場は約443億ドル(2019)と推定されカカオ豆の年間生産量は四半世紀で2倍以上となっています。我が国でもコロナ禍で外出規制が続く中チョコレートの需要が増加しているのを知っていたでしょうか。

(図表:チョコレートを飲むミシュテカ(メソアメリカ先住民)の王たち)


(出典:Wikipedia)

その直前の2020年11月にはハーシー(Harseys)がもっと安価にカカオを購入する手段として先物取引に参入しました。その後カカオの先物価格は一時史上最高値を更新し市場が混乱する事態にまでなります。カカオ生産国とメーカーの間でコストをめぐる緊張関係が国際市場の価格高騰を招いています(参考)

カカオはその昔、貿易においては「通貨」として使われ、戦闘後には「報酬」として戦士に与えられ、王の饗宴で提供されていたと聞きます。
カカオの生産は19世紀半ばに原産地である中米の生産量が激減して以降アフリカに生産の主体が移ったが、近年ではインドネシアも加わり世界第3位の生産量を誇っています。

世界全体のチョコレート消費量が増えている一方で近い将来主原料であるカカオ豆の生産が追いつかなくなるかもしれないとも言われるようになりました。ESG(環境・社会・企業統治)投資の流れから特に上場企業はサプライチェーン(供給網)でも人権保護に取り組むことが求められるようになりました。

(図表:チョコレート製造)


(出典:Wikipedia)

チョコレートの販売額が9年連続で増え、去る2019年には5,630億円となった日本でもこの問題に取り組む企業が出ています。明治ホールディングス株式会社(TYO: 2269)は世界カカオ財団(WCF、World Cocoa Foundation)を通じて持続可能なカカオ調達の柱としてカカオ豆生産農家を支援する「メイジ・カカオ・サポート」(MCS)を去る2006年に開始しています。
チョコレートの原料メーカーである不二製油株式会社(TYO:2607) も児童労働撤廃と森林破壊の防止に向けたコミットメントを発表しました。そして同社は企業のESG評価を行う国際NGOのCDP(前身は「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」)から「トリプルA」に選定されています。

今回の西アフリカ2か国による割増金(DRD)モデルは石油輸出国機構(OPEC)のカルテルに倣った仕組みです。
ということは「カカオ」を巡って中東石油のような対立へと進展する可能性もあるのではないでしょうか。他方で今後アフリカ勢へ一定程度の富の注入が行われる可能性も併せて考慮していく必要があります。

去る2018年に米ワシントン大学(セントルイス)から「カカオとマヤ文明」についての研究が発表されました。マヤ文明の絶頂期にはカカオが通貨として扱われその供給が途絶えたことが経済的にマヤ文明没落の要因の1つとなった可能性があるという仮説です(参考)。賛否両論あるものの、もし本当であれば一文明の盛衰まで左右した「カカオ」の動向に今後も目が離せません。







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