2021年05月18日

コロナワクチンに影響を受けるマーケットの存在 ~日本経済を牽引する高級志向トレンドを考える~

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ワクチン接種が完了し、マスクでの外出もなくなり、大人数での会食も解禁されたとしたら、あなたは友人との数年ぶりの乾杯のお酒に何をチョイスしますか。
私なら、オードリー・ヘップバーンのセリフを借りてこう応えることに決めています。

“Champagne. By all means, Champagne…”

華やかな祝いの席にシャンパンほどマッチするものもないのではないでしょうか。事実、ワクチン接種が進む欧米では、すでにシャンパン・バブルの萌芽が見られています。新型コロナウイルスが全世界的に広まり、バー、レストランは閉鎖され、会食も規模の縮小または禁止を余儀なくされた昨年(2020年)はシャンパンにとって試練の年でした。しかし今年(2021年)3月の米国におけるシャンパンの売上げは前年比88.5パーセント増加しており、さらにドン・ペリニヨンやモエ・エ・シャンドンなどの高級ブランドを擁する仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンも同時期で前年比22パーセントの増加を報告しています(参考)

またコロナ禍をつうじて、これまでシャンパンを飲まなかった層にもシャンパン需要が拡大していると言います。日本でも「巣ごもり需要」「宅飲み」へと消費形態が大きく変化しましたが、これは欧米でも同じで、外出や海外旅行のために貯めた資金が、「宅飲み」でのシャンパンへの需要に回ったためです。そして、ワクチン接種が完了した暁には、ここ数年間の「コロナ疲れ(“pandemic fatigue”)」からの解放感から、シャンパン・バブルが到来するものと期待できるのではないでしょうか。

(図表:米国へのシャンパン出荷量の推移)

(出典:Bureau du Champagne, USA)

シャンパンの生産者団体シャンパーニュ委員会米国事務局も報告書で述べているように、シャンパンの売上げは通常、景気後退の翌年に回復するといいます。去る2008年のリーマン・ショック後も、やはり米国でのシャンパン出荷量は一時的に減少しましたが、その後2012年からは7年連続で上昇に転じています(参考)。さらに、我が国でも財務省の貿易統計によると、リーマン・ショックの翌年からスパークリングワインの輸入量は増加傾向にあります(参考)。こうした過去の傾向からも、シャンパン・バブルへの期待は高まるばかりです。

もっともバブルがくるのはシャンパンのみではありません。これはコロナ前から進んでいる動きですが、外資系ホテルの日本への進出も見逃せません。都内では三井不動産(8801)が手掛ける八重洲の再開発プロジェクトでは「ブルガリホテル東京」が来る2022年に開業するほか、関西でも東急不動産(3289)が手掛ける「ヒルトン」や森トラスト(3478)などが手掛ける「マリオット・インターナショナル」などの出店が相次ぎます(参考)。さらに福岡には積水ハウス(1928)などにより「ザ・リッツカールトン」が誘致される予定です。東京五輪が終われば「需要は一気に冷え込む」との悲観論がア・プリオリに囁かれる中、グローバル・マネーは確実に日本に流入しているのです。

(図表:再開発が進む東京駅エリア)

(出典:Wikipedia)

もはや景気の起爆剤としての機能を失った東京五輪ですが、アフターコロナ時代の日本経済はシャンパン、外資系ホテルといった高級志向が手堅く牽引していくのかもしれません。しかし注意が必要なのは、あくまでもこうした流れはワクチン接種の動向次第という点です。マーケットに与える影響として、金利の水準、為替の変動など様々な要因があるが、今やワクチン接種率も一つの要因となっていることを認識する必要があるためです。ワクチン接種の動向もおさえつつ、アフターコロナ経済を牽引する高級志向路線につき引き続き注視していきたいと思います。







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