2021年03月27日

世界的インターネット遮断でむしろ『仮想通貨』が真価を発揮する理由:ラジオというアナログがデジタルを凌駕する可能性。

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街中を歩いていると、今や高齢層ですらスマートフォンを持つ時代になったのを実感します。
また子供家族とのやり取りを希望したり孫が教えたりするからなのか、スマートフォン、さらにはガラケーすら持ってはいないものの、iPadなどのタブレット端末は保有しているという高齢層も増えている印象があります。
総務省は日本人のスマートフォン保有率について、全年代平均で56.8パーセント、60代で33.4パーセントに上る旨公表しています(2016年ベース)。またスマートフォン保有率が増大するのに比例して日々のインターネット利用時間も増大しているといいます。グローバル規模で見てもスマートフォン・マーケットは成長し続けています。2018年第4四半期には1.2パーセントの成長率を記録しました。

このように私たちの生活にインターネットはかつてない程に侵入してきています。
だからこそ今まで以上に、仮にインターネットが私たちの生活から消えたときのインパクトは大きくなっているというわけです。
実はインターネットは今、世界的に分断の危機に陥っているのをご存じでしょうか。
2017年5月に世界的に発生した、ランサムウェア「WannaCry」によるサイバーテロを思い起こすだけでもそのネガティブ・インパクトがすさまじいことは明らかです。
英国会計検査院はこれにより英国にある全地域医療連携システムの約3分の1が多大な影響を被ったとの調査結果を報告しています。
コロナの影響もあり、今や預金も株式もデジタル化され、ほとんどの公的書類もデジタル上で管理が驚くほどのスピードで進んでいます。特に銀行がサイバー攻撃を受けた場合に世の中に与えるインパクトは致命的です。ところがこうした事態が仮に起こったとして救世主となり得るのが、実は最先端テクノロジーの結晶と想われがちな仮想通貨なのです。
今回はインターネットが現在抱えている状況を明らかにした上で、金融機関のインターネットへの依存度合いを紹介します。
金融がインターネットに依存しているからこそ、実は仮想通貨が一つの抜け道になり得るということをお話ししたいと思います。

~国家による分断を図るロシア~

まずは、インターネットの経済的な役割について振り返ることにします。
そもそもインターネットの導入が一般的になったのは1995年頃でしたが、米国では1980年代からすでにPCが一般に導入されてきていました。
これと同時に、それ以前までロケット・サイエンティストとして米航空宇宙局(NASA)や大学で宇宙開発・研究に携わってきた物理学者らが、宇宙開発予算の縮小と共にウォール・ストリートへと流れ、コンピュータ導入の一般化とも相まって金融工学の発達・普及を促していきました。そうした流れの中でインターネットは(米国流)金融資本主義のグローバル化を一挙に加速化させました。水野和夫・法政大学教授が「電子・金融空間」と呼ぶものの誕生です。
今ではスマートフォンを通じてインターネットへのアクセス率は飽和しつつあるとも言えなくもないでしょう。誰でもインターネットにアクセスし、もはや「21世紀の石油」とすら呼ばれている「情報(information)=データ(data)」を容易に誰もが取得しています。ユーザー数増加率が逓減しつつある中で新たに「加速化」という方向で情報通信技術は発展してきました。
すなわち5G、さらには6Gの導入によりインターネット通信をますます加速化させていく、また通信量を増大させるという方向性へと舵を切っていたというわけです。

こうした中でインターネットやデジタルの氾濫に対する反対が露骨化しているのは周知のところでしょう。直近で言えば、ニュージーランドでの銃乱射事件を受け、フェイスブックはライブ配信の制限をせざるを得ない方向へと追い詰められつつあります。そもそも2016年以来、「ポスト真実(Post-Truth)」が“喧伝”され、フェイク・ニュースが一般で議論されるようになり、グーグルなどいわゆるFANGなどと呼ばれる企業が影響を受けてきました。そうしたインターネットやデジタル経済への反抗として生じているのが国家によるインターネットの管理であり、その口火を切ったのがロシアなのです。
ロシアの連邦議会下院が2月12日(モスクワ時間)、外国とのインターネット接続を規制する法案を通過させました。この法案の主内容はこうなっているといいます:

1.送受信データの経路を制御するルールを策定し、ロシアのユーザー間で交換されるデータの外国移送の最小化を図る。
2.送受信データのクロスボーダーライン・ポイントの決定。危機に直面した際にデータ送受信の集権化を実施。
3.データ送受信元を特定する技術的手段の通信ネットワークへの導入。禁止された情報を伴うソースへのアクセス、通過するデータの制限。
4.外国のインターネットサーバーへの接続が不可能となった場合に備えた、ロシアのインターネットリソースの能力を保障するインフラの整備。

ロシア国内でも一般レベルだけでなく、関係省庁レベルで競争力低下や接続規制にかかるコストの観点から批判的な声が強いようです。それ以外にも、インターネットが世界規模で一時的なシャットダウンを経験したという設定でのテストを検討しているという話もあります。(なお同実験は2019年1日までに行われる予定だったというが、それが実施されたという報道はどうも見当たりません)。
もっとも、こうしたグローバルでのインターネットからの遮断は今に始まったわけではありません。北朝鮮があるからです。北朝鮮はいわば国全体を内部ネットワーク化しているわけで、ロシアの専門家の中には現在ロシア当局が進める形よりも、こうした北朝鮮のような内部ネットワーク化の方が低コストで簡単であると薦める声すらあるといいます。
「このような措置はいわば“独裁国家”が行う身勝手な動きだ」「民主主義が根付いた西洋諸国で起きるはずがない」という批判を述べる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、そうした方に考えて直して頂きたい動きが、実は英国を中心として起こっているのです。

個人によるインターネット奪還 ~英国が考えるインターネット解体~

インターネットを巡る技術はさまざまなものがありますが、その中でも多大な貢献をしてきたのがWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)でした。これを開発したのが英国人のティム・バーナーズ=リーです。同人が構想した当時のウェブとは、分散化されたプラットフォームで、誰もがサイトを公開し、ほかのサイトにリンクを貼れるというものでした。
この技術を開発しナイトの称号を有するティム卿が2018年、ウェブを支えるルールや基準を確立する必要があるとの認識をもつ人々と共同で、Contract for the Webというコミュニティを創設し、インターネットにあるデータを個人の下に取り戻そうとしているのです。同人はこれを「インターネット界のマグナ・カルタ」と呼んでいるそうです。
国家としての英国もこれを支援するかのような動きを見せています。いわゆるテクノロジー・ジャイアントに対してユーザーを「保護する義務」を強制させる法案を検討中のようです。英国ですら、インターネット空間の解体運動が生じている中、このまま何も起こらないとは決して言いきれない状況なのです。

~インターネット障害下で活躍し得る仮想通貨~

インターネットに障害が起きたとして最も影響を受ける一つが金融です。今や、あらゆる金融商品がデジタル上で取引されています。こうした中で国内の資金決済システムである全銀ネットは、元来公衆交換電話網を用いるデータ通信手段を利用してきました。しかし、2024年1月にNTTの固定電話網がIP網へ移行し、これに伴いISDNの「ディジタル通信モード」が終了することから、2023年12月末までに、金融機関や日銀、利用者ら間のコンピュータ接続方式であった全銀協標準プロトコルのうち、公衆交換電話網を停止する措置を取る旨、一昨年(2017年)に公表しています。もはや既存の金融システムはインターネットへの依存度をますます増大させているのです。
これに対し、一見インターネットが必須に想える仮想通貨が実は真価を発揮する可能性があるのです。仮想通貨(ブロックチェーン)はアクセスするのにインターネットが利用されており、またデジタル上の通貨だということでインターネットの必要性が前提視されてますが、実はそうではありません。

古くは2014年にフィンランドで実施されてきたのですが、ビットコインはアマチュア・ラジオを通じて送信することができるのです。
具体的にはインターネット非接続でアンドロイド携帯と4つのポータブル・アンテナをつかい、ニュージーランドでの実験では12.6km先に仮想通貨を送信することが出来たのです。
日本においても、金融とは関係ない形ですが、博報堂の子会社がトークンとして実装されたデジタル・アセット情報をラジオ番組の音声に埋め込むことで視聴者に転送し、視聴者はスマホのDappsでそれを受信するという配信方法を実証しています。
無論こういったシステムは現時点でインターネットを前提としたものですから、直ちにインターネットに置き換わることは無いでしょう。但し、ラジオというアナログ機器がデジタルを上回る可能性があるという「抜け道」が現前にあるのです。そのことを念頭に置きつつ、インターネットの存在といったこれまでの“当たり前”はもはや“当たり前”ではないという柔軟な発想に切り替えなければならないでしょう。







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