2021年03月17日

コロナに効果?美容に効果?リラックスに効果?大麻が「市民権」を得た日、世界のマーケットは大きく変わる。

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フランス勢において「大麻」(cannabis)入りワインが登場し、ちょっとした物議を醸しています。
ボルドー在住で28歳の起業家ラファエル・ドゥ・パブロ(Raphaël De Pablo)が作った「Burdi W」というワインです。「大麻」由来のリラックス効果のある「CBD(カンナビヂオール)」が250mg含まれています(参考)
ただし同国の法律では麻の繊維と種子の栽培と販売のみが認められており、植物の葉や花の採取は禁止されています。そのため現時点では完成品は「ワイン」としては法的には認められません。
しかし欧州勢(EU)における「大麻」を取り巻く法律は進化しています。
欧州連合司法裁判所(CJEU)は2020年11月19日(ルクセンブルグ時間)「商品の自由な移動」の名の下にフランスにおける「CBD(カンナビヂオール)」の禁止は違法であるとの判決を下したのです(参考)

(図表:麻の花冠)

(出典:Wikipedia)

「大麻」(cannabis)」とは麻の花冠、葉を乾燥または樹脂化、液体化させたものを指します。
「大麻」を構成する物質「カンナビノイド(cannabinoids)」の一種である「CBD(カンナビヂオール)」には、実は神経作用はあっても毒性も多幸感もなく「ハイ」になることはないのです。しかし炎症や痛みを和らげる効果があるとされています。そのため「CBD(カンナビヂオール)」は向精神作用を伴わない新たな治療法として注目されているのです。
2020年のパンデミックの真っ只中の米国勢において「大麻」が記録的な売上を上げたのはご存じでしょうか(参考)
特に2018年に工業用麻(industrial hemp)を合法化する米国農業法案が可決されたことが大きく(参考)、世界の「CBD(カンナビヂオール)」オイルの市場規模は2027年までに240.8億ドルに達するとも予想されています(参考)

米国勢だけに限らず、英オックスフォード大学も1236万ドルの医療用「CBD(カンナビヂオール)」の研究プログラムを開始することを発表しました。
2019年に欧州勢(EU)の34の「CBD(カンナビヂオール)」のスタートアップ企業が受けた投資も記録的なレベルとなっています(計1億2850万ドル)。この旺盛な投資の原動力となっているのが「規制緩和」です。
同年にルクセンブルクが欧州勢(EU)で初めて「嗜好用大麻」を合法化する意向を表明したことで勢いを増しました(参考)
大麻や大麻を原料とした製品を製造・販売する企業はこの5年間でかなり人気が高まっているだけでなく、一部の投資家や起業家にとっては金鉱となっているのです。

米国勢における「大麻」禁止の始まりは1930年の連邦麻薬局(Federal Bureau of Narcotics)設立です。ハーバート・フーヴァー米政権下で設立され、ハリー・J・アンスリンガー(Harry J. Anslinger)が初代長官となりました。
この時期「大麻」の危険性と人種差別を煽るプロパガンダ、いわゆる「ヒステリー・キャンペーン」が米メディアで繰り広げられ、アンスリンガーはそれを利用して大麻(マリファナ)との全面戦争を展開したのです)参考)

(図表:ハリー・J・アンスリンガー)

(出典:Wikipedia

ところが近年に入り米国勢における「大麻」のトレンドが一転します。2014年に米コロラド州で従前から認められていた「医療用大麻」を越えて、「嗜好用」の大麻の販売制度がスタートしたのです。これが他州にも広がりました。
2017年には世界保健機関(WHO)が「CBD(カンナビヂオール)」は純粋であれば人や動物にとっても安全で、依存症や乱用を引き起こす可能性はないという報告書を発表しました(参考)
さらに米国立衛生研究所(NIH)は1,500mgの「CBD(カンナビヂオール)」を最大4週間、
毎日口から摂取しても安全だとしたのです(参考)

「CBD(カンナビヂオール)」は免疫系に影響を与えることを示唆する研究も出ています。
具体的には抗炎症作用があり「免疫抑制剤」(参考)や「免疫調整剤」(参考)として機能するというものです。
特に今次パンデミックによって米国における「CBD(カンナビヂオール)」への期待は益々高まっています。
世界保健機関(WHO)はCOVID-19の重症患者に対してコルチコステロイド投与を推奨しています(参考)。
これに対して「CBD(カンナビヂオール)」はステロイドの天然の代替品として研究されており、副作用なしに同様の効果をもたらすと考えられているのです(参考)

それでも、その効用についてはまだ研究が十分とは言えないのが実態です。にもかかわらず、米国勢における「CBD(カンナビヂオール)」に対する一般評価は独り歩きしているようにも見えます。2021年1月に米国人5千名の一般市民を対象にした調査では「免疫力」を高めるのに重要な食品として「CBD(カンナビヂオール)」が「ビタミンC」「ビタミンD」「プロバイオティクス」「亜鉛」などに続いて7位に挙がりました。

(図表:健康食品)

(出典:Wikipedia)

そんな中、米投資家の間では「マリファナ界のファイザー」となり得るヴェンチャー企業が存在するとも言われています。
大麻の葉を1枚も育てることなく、純度100%の「CBD(カンナビヂオール)」を大量生産できるという画期的な技術に特許が下りる可能性が高いというのです(参考)
バイデン新米政権発足直後の2021年2月1日、民主党上院議員が年内に大麻改革法案の可決を目指すと発表しました(参考)
この発言は「合法大麻」に対する国民の支持が高まっていることを受けてのものです。昨年(2020年)11月に行われたギャラップ世論調査では過去最高となる米国人の68%が大麻合法化を支持したのです(参考)
「大麻」について第二次世界大戦後にその規制をリードしたのは米国勢です。しかし事もあろうにその米国が今、グローバル社会をリードする形で今度は「大麻合法化」に向けて動き始めているのです。このような動きが推し進められる背景には何があって、本当の目的は何なのでしょうか。

今次パンデミックでのコロナ・ワクチンを巡り、欧米、中国、そしてロシアの間におけるマーケット争奪戦が加速しています。
「免疫力」という次のパンデミックに向けた切り札として「CBD(カンナビヂオール)」が市民権を一気に得る可能性も考えられます。
「CBD(カンナビヂオール)」を巡る世界規模の展開に引き続き注視したいと思います。







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