2021年03月14日

トランプ政権からバイデン政権へと移り変わった本当のストーリー展開。全ては決められたシナリオの上で動いている。

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騒然とした米国においてバイデン新政権が成立してからこの原稿を書いている段階でようやく1か月以上の月日が経ちました。
米国のみならず、グローバル社会全体がようやく落ち着きを取り戻しつつある様に見えなくもありません。

しかし「本当のストーリーの展開」はこれからなのです。
ところが側聞するに、日本のマスメディアが接触する「米国事情の専門家」のお歴々は例によって例のごとく、
「大国アメリカ」論を展開し、基本的にはこれで安定化に向かう、何もかもと繰り返し述べている様です。
全く持って甘いと思うし、また意図的にそう述べているとするならば一体何のために?と思わざるを得ないのです。
そこでバイデン政権の「本当の」行方について簡単に私の考え方を述べておきたいと思います。

話の大前提として述べておきたいのが、米国は平等な国でも何でもなく、
「統治エリート」として人々を統べる役割を担う階層と、「統治される」側の階層が生まれた時から明確に決まった、
実に不平等な国であるという歴史的な事実です。
そして前者の「統治エリート」においては一見すると「民主党VS共和党」等という分裂が見られますが、
実のところそれは全て演出に過ぎないのです。この厳然たる事実を踏まえないと全くもって真実が見えなくなります。

バイデン民主党政権についても同じです。
これからバイデン政権はありとあらゆる局面において
それに先行していたトランプ共和党政権が行ってきたことをひっくり返してまわります。
その典型が外交・安全保障政策であるわけなのですが、
とりわけ中東に対する政策を見るとそのあまりに節操の無い米外交の転換ぶりに、
今後私たちは時に言葉を失うほどになるというのが私の考えです。

トランプ前政権はその最末期になぜか、アラブ諸国とイスラエルとの関係を一気に「大団円」と持ち込みました。
それによって「中東和平は完成された」と言わんがばかりの様子に見えていました。
一方、イランについてはというと、封じ込め政策を徹底し、とにもかくにも交渉には一切応じなかったのです。
「イランの核問題」はこうして残され、アラブ諸国は歴史の表舞台にそろい踏みしたかの様に見えました。

ところが、です。
バイデン新政権はというと、その発足当初からまずサウジアラビアに対して冷たい素振りを見せたのです。
具体的にはイエメンでサウジアラビアが行っている「代理戦争」に対して積極的な支援はもう行わないと表明しました。
それだけではありません。
2018年にトルコ・イスタンブールで発生した、
「反体制派ジャーナリスト」カショギ氏の殺害事件について
サウジアラビアの最高実力者・ムハンマド皇太子の関与が国際的に疑われているわけですが、
これについての「米政府内部報告書」を公開するつもりであるともバイデン政権は発表したのです。

他方でアラブ首長国連邦(UAE)についてもいきなり冷たい素振りを見せ始めました。
最新鋭戦闘機「F-35」の供与に踏み切るとトランプ前政権が約束したものの、
バイデン政権はその発足当初からこれを反故にすると公言しているのです。
「イスラエルと仲良くすれば、その同盟国である米国を動かすことが出来る」と信じて止まず、
そのためにイスラエルとの歴史的和解に向けての先導役を果たした
アラブ首長国連邦(UAE)のリーダーシップは完全に梯子を外されたのです。
加えて「盟友」であるはずのイスラエルに対しても、
実に政権発足から1か月が経ってから電話首脳会談をバイデン大統領はネタニヤフ首相との間で行い、
事実上「イスラエル離れ」を演出しました。イスラエルに対しては相当なプレッシャーになっているのではないでしょうか。

これでお分かりの通り、実のところ共和VS民主などと言う亀裂はなく、
大戦略があり、その上で振り子を動かし、世界を揺さぶる。
これが米国の統治リーダーシップが行っていることなのです。
その意味で「これから」を知りたければ俯瞰図を常に意識しなければならない。
それがバイデン時代の米国と世界なのです。







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