2021年03月14日

さらなる金融バブルの到来か?「中国とバチカン」が手を握る意味とは何か。

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米中貿易戦争が続いている。
9月24日(米東部時間)にトランプ米政権が追加制裁を実施したことに中国側が反発し、
閣僚級貿易協議は取り止めとなりました。
長期化が必須であるという報道が相次いでいます(※1)。
この二大大国の対立はグローバル経済にとって大変な悪影響があるのは明らかであり、
特に当事者である中国は大きな被害を受けています。
では中国はこのまま不況に追い込まれるのか?いや、そうはならない可能性があることをここで議論したい。

中国は「一帯一路」政策を通じて経済領域の拡大を行ってきました。
どうしてその必要があったのでしょうか。
それは、最早中国国内でのモノの需要不足を賄えないからです。
そのために19世紀の帝国主義的にも近い貸出と自国企業の進出をセットとした経済外交政策を進めてきました。
しかし、米中貿易戦争が生じたために一大マーケットである米国を失うこととなり、
サプライ・チェーンが停滞してしまったのです。

中国が地方債を中心として不良債権を多数有しているのは度々指摘されていることであり、
そうなると中国におけるマネー・フローがショートしてしまうことになりかねないのです。
中国はこのまま債務不履行の嵐に巻き込まれて行ってしまうのか。

ここで中国の救世主になり得るのが、実は『バチカン』なのです。

9月22日(北京時間)、中国とバチカンが司教任命問題を巡り暫定合意に至った旨、発表されました(※2)。
バチカンは共産主義国において司教の任命問題を抱えてきました。
2018年時点でバチカンがこの問題を唯一抱えていた相手というのが中国だったのです。

カトリックの総本山が中国とどのような関係が?特にどうしてマネーの話とバチカンが?と訝しむことでしょう。
しかし、実はバチカンは宗教や政治とは異なる別の顔を持っているのです。
バチカンこそが、「グローバル・マクロ」、つまりグローバル規模での資金循環における根源的なプレイヤーの一人なのです。

バチカンがグローバルな金融マーケットで大きな力を見せ始めたのはそう昔のことではないのです。
1929年、当時のローマ法王ピウス11世は権力の全盛にあったイタリアのムッソリーニと「ラテラノ条約」を結びました。
この条約の中でイタリアは、
かつて1870年にイタリア王国が教皇領を没収したことに対して当時の価値で約8,500万ドルに上る賠償金を
バチカンに支払うことを約束したのです。

それを原資にバチカンは宗教事業協会(IOR)、通称「バチカン銀行」を設立したのです。
その規模はすさまじく、一時期にはヨーロッパ中の株式が“バチカン・マネー”によって買い占められていたほどでした。
買収可能な企業がなくなってしまったために
カトリックの教義に反する避妊具を製造するメーカーすら買収していたというのだから、その規模は計り知れません。

ところが、こうした「バチカン銀行」の天下もいつまでも長続きしたわけではありませんでした。
2009年、「バチカン銀行」の内情をリークするある衝撃的な1冊の本が出版されたからです。
さらには2007年以来、世界中を騒がしてきたウィキリークス事件にあやかった、
「バチリークス」と呼ばれる各種リークが続出した結果、
「バチカン銀行」は大幅な改革を余儀なくされてきたのです。
しかし、バチカンは「バチカン銀行」を縮小するどころか、
依然として維持しようとしていることが再度暴露されているのです。

この顛末を踏まえると、そのバチカンが中国と暫定合意を結んだことのインパクトは、
スキャンダルを受けて次なる投資先を探しているバチカンが次なるターゲットとして
中国に狙いを定めたことにあるのだと解釈できるのです。

貿易戦争を通じて、中国の実需筋によるマネー・インフローは減少しています。
その一方で中国は外資に対するさらなるマーケットを開放しました。
中国人民銀行の易綱・新行長(総裁)は金融マーケットのさらなる開放を約している。
そのような中でバチカンからのマネーが入れば何が起こるのでしょうか。

実需が冷え込む一方で投資マネーが流入する。
これは円高不況から一挙に平成バブルへ移行した日本と類似した動きであることに注意する必要があります。
すなわち、いよいよ中国での金融バブルは新たな局面を迎え、さらに拡大していくことが目に見えているのです。

過熱感が散々謳われてきた香港や上海の不動産マーケット、
またロンドン・シティとの接続がなされている株式マーケットが更なる上昇を続けていくのか、引き続き注視していきたい。







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