コロナ後の人生。| 気づきに満ちた世界と私

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肥料の王様「ウレア」:日本が生産国1位に再びなりえる日がくるのか。

「ウレア(urea)」という物質を聞いたことがあるでしょうか。化学式では、「(NH2)2CO」と表現されるこの物質は、動物の尿中に含まれる有機化合物「尿素」のことであり、たんぱく質や核酸の分解生成物中の窒素分を体外に排出する役割を受け持っています(参考)。 実は、尿素は肥料からスキンケア製品に至るまで、あらゆるものに大量に使われており、とくに農業分野では、輸送費、包装費など経費がかからないこと、大規模な工場生産に適すること、また中性肥料であり、連用しても土壌が悪変しにくいことから、「肥料の王様(King of Fertilizers)」とも呼ばれているほど重宝されています。

マーケットで勝つ!ための先行指標のつかみ方
   
  • 世界で最も裕福かつ汚染度の高い国:G7と「グリーン・エネルギー」の行く末。
    世界で最も裕福かつ汚染度の高い国:G7と「グリーン・エネルギー」の行く末。

    新型コロナ・パンデミック以降、G7諸国が「グリーン・エネルギー」よりも「化石燃料」に数十億ドル多く拠出しているとの報告書が先日のG7開催直前に発表されました(参考)

    昨年(2020年)1月から今年(2021年)3月までの間に、G7諸国が石油、石炭、ガスといった「化石燃料」の支援に1,890億ドルを投じた一方で、「クリーン・エネルギー」に費やしたのは1,470億ドルだったというのです。

    G7諸国は世界人口の10分の1でありながら、CO2排出量のほぼ4分の1を占めているとされ、世界で最も汚染度の高い国々として挙げられています。

    図表:G7諸国 出典:Wikipedia

    報告書を発表した英国およびカナダを拠点とする慈善開発団体/シンクタンクの3組織によれば、世界で最も裕福な7か国によって化石燃料プロジェクトに投じられた支援の80%は、排出量や汚染の削減を要求する条件を課されることもなく、無条件で与えられていました(参考)

    バイデン政権による「グリーン・エネルギー」を中心とした「エネルギー政策」に対しては批判の声も挙がっています。新しいインフラ・エネルギー計画は「何百万もの新規雇用」を創出するとされている一方で、米国内における最大の新規雇用源のひとつである国内のエネルギー生産者に対する宣戦布告に等しいというものです(参考)

    バイデン米政権による新エネルギー計画で一番の勝者となるのは「中東」なのではないか、というのがその指摘のポイントです。なぜなら今提唱されている「クリーン・エネルギー」による解決策では、今後数十年間のエネルギー需要を満たすことは不可能なのです。

    現在、米国のエネルギーの75%以上は化石燃料によるものであり、風力や太陽光によるものは7.5%にも満たない状況です。また、道路を走っている車のうち、電気自動車は2%にも満たないというのです。つまり、国内で石油やガスを生産しなければ、中東やロシアからの石油やガスでタンクを満たし、その過程で中東の石油王やロシアを豊かにすることになるのではないか、というのです(参考)

    他方で、トランプ前米大統領は、国内エネルギー生産者連合(DEPA)のような団体に定期的に助言を求めており、その結果、最後の月(2021年1月)には、米国は半世紀ぶりにサウジアラビアからの原油輸入がゼロになっています(参考)

    図表:2015年のCOP(気候変動枠組条約締約国会議)出典:Wikipedia

    今年(2021年)11月に予定されているCOP26(国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第26回締約国会議)は、スコットランド・グラスゴーで開催されます。重要なのは、このサミットで世界的な「炭素取引(carbon-trading)」の枠組みが設定され、「カーボン・ニュートラル(carbon neutrality)」の公約が強化されるなど、長期的な緩和のための取り組みに焦点を当てる予定である点です(参考)。さらに翌12月には、国連と英国が世界気候サミットを共同開催予定となっています。「パリ協定」の締結から5年の節目を迎えるタイミングとなることからも、象徴的なメッセージを発信する可能性が高いといえるでしょう。
    国連は、今年(2021年)を気候変動との戦いにおいて「運命の分かれ道となる年(Make or Break Year)」であるとの報告書を発表しています(参考)

    しかし、「気候変動」は閾値(いきち)を超えた場合、再び安定する可能性があるとの研究論文も今年(2021年)4月に英国科学雑誌である『ネイチャー』誌に英国の研究者により発表されています(参考)
    「気候危機」に対する世界のトレンドは「政治的」なものであることも踏まえつつ、今回新たに明らかになった事実がG7においてどのように扱われるのか、あるいは触れられることもなく、G7以外の諸国を縛る形で標準作りが進んでいくのでしょうか。引き続き注視していきます。

  • スマホ片手にマネー・ロンダリングが行われる時代到来!?
    スマホ片手にマネー・ロンダリングが行われる時代到来!?

    新型コロナ・パンデミックの影響で延期となっていた「金融活動作業部会」(FATF)による第4次対日相互審査の発表を8月末に控え、各金融機関は態勢整備が求められています。

    そもそも「金融活動作業部会」(Financial Action Task Force: FATF〈ファトフ〉)とは、1989年のアルシュ・サミットでの経済宣言を受けてパリに設立された政府間機関であり、「マネー・ロンダリング防止(anti-money laundering: AML)」に関する協調指導、協力推進に取り組んでいます。G7を含む37か国と2つの地域機関(欧州委員会〈EC〉・湾岸協力会議〈GCC〉)が加盟しており(参考)、加盟国へは実質的に強制力を持つガイダンスを“Reccomendation(勧告)”という形で公布されています。当初はAMLのみを目的としていたが、2001年の9.11同時多発テロ事件以降は、「テロ資金供与対策(combating the financing of terrorism: CFT)」にも取り組んでいます。

    さらに、2012年のFATF勧告以降は、これに「拡散金融対策(Counter Proliferation Financing: CFP)」も3つ目の柱として加わっているCFPとは、大量破壊兵器(WMD)拡散の疑いのある個人・団体の資金凍結等を通じて行われる金融面からの不拡散措置のことです。去る本年(2021年)4月7日に出されたG20財務相・中央銀行総裁会議の声明でも、「マネー・ロンダリング(ML)、テロ資金供与(TF)及び拡散金融(PF)と闘い、…」とあるように、現下の金融犯罪を理解するポイントはこの3つのキーワードとなります。

    同声明には他にも金融犯罪の最新のトレンドとなるキーワードが散りばめられています。たとえば、仮想通貨(暗号資産)についても「FATF基準のグローバルな履行」を求めています。先日(2021年5月10日)、中国公安省は暗号資産を使ったマネー・ロンダリングの一斉摘発に踏み切り、1,100人以上を逮捕したことを明らかにしたように、今やマネー・ロンダリングには、パナマやスイス銀行などを利用する従来の方法に加えて、仮想通貨を利用した新たな手法も登場しているのです。


    図表:マネー・ロンダリングの舞台としても有名なスイスの観光地ツェルマット 出典:Wikipedia

    決済業務の自主規制機関である中国支付清算協会は、「匿名性があり世界に通用して利便性が高いことから仮想通貨が越境資金洗浄に利用される事例が増えている」と述べています(参考)。もっとも、仮想通貨での取引は、改竄がほぼ不可能なブロックチェーン上に記録されるため、移動を監視しやすいという点もあり、国際銀行間金融通信協会(SWIFT)の報告書では「現金を利用する従来の手法がマネー・ロンダリングの主流であり、仮想通貨を使う事例は依然として少ない」ともしています(参考)

    では最後に、我が国における金融犯罪対策の動向をみみましょう。ここで特に注目しておきたいのが、地方銀行による取り組みです。
    ある地方銀行は、太平洋戦争で被災するも2日後には営業を再開し、無印鑑、無通帳でも行員の記憶を頼りに営業を再開するなど地域密着型で取り組んできたといいます。一見するとマネー・ロンダリングのような金融犯罪には無縁のような地方銀行だが、逆にその脆弱性に国際的な犯罪組織がつけ込み、金融犯罪に利用されるというケースが多々あるのです。

    マネー・ロンダリングは、プレイスメント(口座開設~入金)、レイヤリング(資金移動)、インテグレーション(出金)を経て実施されるが、各フェーズにおける監視の強化が要となります。
    具体的には、窓口での口座開設においては、その理由の合理性を詳細なヒアリングを経ることで判断したり、アプリであればアカウント作成時、取引時など各段階で多要素認証を必須とすることで、リスクを軽減しています。窓口の行員からすると業務の増大、一般ユーザーからすると手続きの煩雑化にみえてしまいますが、マネー・ロンダリング防止(AML)という本来の趣旨を改めて想起することで、自らも金融犯罪対策に貢献しているとの意識の転換につながるのではないでしょうか。

    従来は金融犯罪というと、マフィアや巨大企業など雲の上の次元で展開されるもので、一介の市民には無関係のように捉えられていた節がありましたが、グローバル化、デジタル化の進展により、今や金融犯罪の触手はすでに手元のスマートフォンにまで伸びているのです。

  • 異常気象がもたらす金融システム崩壊のシナリオ。その時マーケットはどう動くのか。
    異常気象がもたらす金融システム崩壊のシナリオ。その時マーケットはどう動くのか。

    米カリフォルニア州が現在、過去数十年で最悪の干ばつに直面しています(参考)
    5月11日時点で、カリフォルニアの面積の約7割で、干ばつの度合いが、5段階中2番目に深刻な「極度の干ばつ」または最も深刻な「類のない干ばつ」となっています(参考)
    干ばつは農業に悪影響を与えるため、農業から得られる商品に依存している人々にも被害が及び、食糧が不足し、需要が供給を上回り、価格が上昇して商品市場が低迷します。
    カリフォルニア州はアメリカ国内の野菜の3分の1以上、果物とナッツの3分の2を供給していますが、アメリカのみならず世界の市場に向けても果物、野菜、ベリー類、ナッツ類の主要な供給地となっています。世界の食糧の価格に影響する可能性があるのです。

    (図表:ベリー類)

    (出典:Kazvorpal)

    カリフォルニア州は地中海性気候のため、夏は常に乾燥し、冬は雨が降らないことが多いエリアです。
    そのため「干ばつ」はよくあることですが、今年(2021年)は例年に比べて気温がさらに高く乾燥しています。
    カリフォルニア州の貯水池は、雨の多い年に水を蓄え、乾いた年に生き延びるための貯金箱のような役割を果たしていますが、その貯水池や、貯水池を支えるシエラネバダ山脈(Sierra Nevada)のまばらな積雪から水が急速に蒸発しているのです。同州にある1,500以上の貯水池の水量は、この時期に本来あるべき水量よりも50%も少なくなっています(参考)

    昨年(2020年)12月7日に世界で初めて「水」の先物取引がシカゴ・マーカンタイル取引場(CME)で開始されました。それも、カリフォルニアの水「ナスダック・ヴェレス・カリフォルニア『水』指数」です。カリフォルニアの「水」に対する切実な需要から始まった先物取引とも言えるでしょう

    今世紀は「水」が重要な問題となり、干ばつ、暴風雨、洪水、水質悪化といった問題が、水を求めて移住する「水の難民(“water refugees”)」を生み出すとも言われています(参考)

    2003年の欧州の猛暑、2010年のパキスタンの洪水/ロシアの猛暑、2011年のテキサスの干ばつ、2013年の欧州の洪水、2015年のカリフォルニアの山火事、2016年のカナダ・アルバータ州の山火事など、過去10年半の間に発生した一連の持続的で極端な、コストのかかる夏の気象現象など(参考)、このような異常気象が将来、金融システムを脅かすという報告書が出ています。

    (図表:アメリカ・モンタナ州で2000年8月に発生した山火事)


    (出典:John McColgan)

    米行政管理予算局(OMB)によると、過去10年間に発生した異常気象や火災は、アメリカの連邦政府に3,500億ドル以上の損害を与えました(参考)
    米国政府説明責任局(GAO)は、熱波、ハリケーン、山火事などの異常気象が、2100年までに北米で50%増加する可能性があり、米国政府に年間1,120億ドルもの損害を与える可能性があると予測しています(参考)
    スイスにある国際決済銀行(BIS)内に置かれている金融安定理事会(FSB)は、昨年(2020年)末に、気候変動の影響が世界の金融システムに波及し、増幅され、最終的には金融の安定性を脅かす可能性があると警告しました(参考)
    金融安定理事会(FSB)が指摘するのは2種類のリスクです。
    資産価格の急激な下落につながる物理的なリスクと、金融システムに不安定さという影響を与える無秩序な「低炭素経済」への移行というリスクです。
    これら2つのリスクは世界の金融システムにおけるショックへの対処の方法を将来的に変える可能性があるといいます。

    昨年(2020年)、米商品先物取引委員会(CFTC)からの依頼によって「Managing Climate Risk in the Financial System」(金融システムにおける気候変動リスクの管理)という報告書が出されました(参考)。同報告書は、山火事、暴風雨、干ばつ、洪水などのコストが保険や住宅ローン市場、年金基金、その他の金融機関に広がり、米国の金融市場を脅かしていると結論づけています。
    現状では、世界中の規制当局や市場参加者は、気候変動リスクをどのように監視・管理するのが最善かを理解し、実験している初期段階にあります。
    その際に、気候関連の金融リスクを測定・管理するためのデータや分析ツールが不十分であることが、依然として重大な制約となっているようです。共通の定義や基準がないことが、市場参加者や規制当局による気候リスクの監視や管理の妨げになっていると同報告書は指摘します。

    世界規模で推し進められつつある「気候変動」に向けた新たな枠組みの中で、次に起こりうる金融システムの変化が投資にどのような影響を及ぼしていくのでしょうか。

  • 「世界で最も住みやす都市」に選ばれ続ける日本
    「世界で最も住みやす都市」に選ばれ続ける日本

    世界で「最も住みやすい」都市として、オセアニアと日本がトップに上がりました(参考)
    新型コロナ・パンデミックの影響でこれまでの欧州勢優位であったトレンド(順位)がひっくり返った形となったと言えるでしょう(参考)
    英エコノミスト誌が毎年発表している「The Global Liveability Index 2021」(「住みやすさ」のグローバル・インデックス)によると、12位に転落したウィーン(オーストリア)に代わり、オークランド(ニュージーランド)が1位となり、次いで、大阪(日本)、アデレード(オーストラリア)、東京(日本)、ウェリントン(ニュージーランド)とアジア太平洋地域の街が並びました。

    1位 オークランド (ニュージーランド)  96.0

    2位 大阪 (日本) 94.2

    3位 アデレード (オーストラリア) 94.0

    4位 ウェリントン (ニュージーランド) 93.7

    4位 東京 (日本) 93.7

    (図表:ニュージーランド・オークランド市)

    (出典:Wikipedia)

    今回の世界の中における「住みやすさ」の平均スコアは、パンデミック前の平均スコアと比較して7ポイント低下。国境の閉鎖によって守られた都市、健康危機への対処能力、ワクチン接種キャンペーンの展開速度などが、ランキングに大きな変化をもたらしました。欧州やカナダの多くの都市が、文化やスポーツのイベントを制限したり、学校やレストランを閉鎖したりして、ランキングを下げました。

    東京、大阪といったすでにネームバリューがあり、自動的に人が集まるような大都市とは違い、人口減少という問題に直面している街は多く、
    「人口増加」には「規模(size)」と「密度(density)」という2つの基本的な要因があるといいます。

    カンザスシティ連邦準備銀行のエコノミスト、ジョーダン・ラパポート(Jordan Rappaport)博士らが発見したところによれば、「人口増加は、人口50万人程度までは(都市の)規模と正の相関があり、50万人から300万人までは規模の増加とは無相関となり、300万人以上になると規模の増加と負の相関関係」というパターンがあります(参考)
    他方で、人口急増に伴う「混雑(congestion)」という問題もあります。
    たとえば、都心への利便性が良く、タワーマンションが10棟以上立ち、商業施設も増加したことで、「住みたい街」として人気が高まり、上位の常連であった武蔵小杉では、駅の改札に入るために住民は毎朝行列に並ばなければならないという事態まで生じました(参考)。2021年「住みたい街」のランキングでは14位と大幅に順位を下げています(参考)

    「美のプレミア(割増金)」(beauty premium)と経済学者らが呼ぶ有名な現象があります(参考)
    「容姿端麗な人ほど収入が高く、キャリアで成功する傾向がある」というものだが、「街づくり」にもそれが当てはまるという研究結果が出されました(参考)

    (図表:カナダ・ケベック市)

    (出典:Wikipedia)

    フィラデルフィア連邦準備銀行のジェラルド・A・カルリーノ(Gerald A. Carlino)博士とマサチューセッツ工科大学(MIT)のアルバート・サイス(Albert Saiz)博士が2019年に発表したもので、都市(cities)や街区/区域(neighborhoods)に大きな「美のプレミア」が存在していたというものです(参考)
    「都市の美しさ」は、「税金の低さ」と並んで、都市全体の人口増加の最も重要な予測因子となっていました。
    「絵のように美しい(picturesque)」場所が他の都市の2倍ある都市では、1990年から2010年にかけて、人口と仕事の増加率が10%以上となりました。
    「絵のような美しさ(picturesqueness)」において上位25%の都市は、下位25%の都市に比べて、大卒者数の増加率が3%近く高くなりました。
    そして、「絵のように美しい」都市の上位4分の1では、下位4分の1よりも住宅価格が16%高くなっていた。

    (図表:神戸)

    (出典:Wikipedia)

    さらに「街の美しさ(city beauty)」は「大きさ(size)」の影響は受けないこともこの研究で明らかになりました。小さい規模でも、中程度の規模でも、公園や歴史的建造物がより多く、水辺や山が近くにあり、空が澄んでいて雨が少ない場所を人は同等に「美しい」と感じる傾向がありました。
    街の「構造」は「イノベーション」にも関係があります。
    20世紀初頭のアメリカで「都市計画(urban planning)」の分野に変革をもたらしたジェーン・ジェイコブス(Jane Jacobs)は、都市の密集した地域に住むことが、ダイナミックなイノベーションを掻き立てると主張しました。
    昨年(2020年)末に彼女の言葉が正しかったことを示唆する研究結果が発表されました(参考)
    この研究によれば、道路の密度や接続性(connectivity)が10%向上すると、イノベーションが0.05〜1%増加していました。
    これは、雇用密度が10%増加すると、一人当たりの特許件数が10年間で2%増加し、高速道路の接続性が10%増加すると、都市圏全体の特許件数が5年間で約2%増加するという先行研究とも一致するといいます。
    世界各国における経済が回復していく中で、これから我が国への海外渡航者の増加に拍車がかかります。そのとき、東京と大阪以外の日本の美しさも目にして欲しいと願います。

  • ウズベキスタンは「買い」か?中央アジアで注目を集めるウズベキスタンの魅力に迫る。
    ウズベキスタンは「買い」か?中央アジアで注目を集めるウズベキスタンの魅力に迫る。

    中央アジア、とりわけウズベキスタンが現在活況を呈しています。あの内陸の地域がなぜ!?と疑問に思われるかもしれませんが、歴史の紐を解くと何ら不思議なことではなさそうです。
    中央アジア5か国(カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス)はユーラシア大陸の中央部に位置し、古来よりシルクロードを通じて栄えてきました。地政学の租マッキンダーが「ユーラシアの心臓部(ハートランド)を制するものは世界を制する」と言ったように、中央アジアをめぐっては絶えず各国の思惑が錯綜してきました。
    19世紀から20世紀にかけては、大英帝国とロシア帝国の間で中央アジアの覇権をめぐる抗争「グレート・ゲーム」が展開されました。一進一退の経緯をたどった抗争であったことから、チェスになぞらえてつけられた言葉です。
    この抗争は1907年の英露協商の成立をもって終結したとされていますが、その後も中央アジアをめぐっては、エネルギー資源獲得を目論んだ米国、中国、日本などが新たなプレーヤーとして参戦し、「新グレート・ゲーム」として現代まで継承されてきたのです。

    そして近年では中国が「一帯一路」政策の下、シルクロード基金(400億ドル)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)をつうじて経済的な取り込みを図っています。もちろん欧米諸国の進出も盛んです。米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションは、中央アジアへの進出を強化しており、2022年にはブハラにハイアット・リージェンシー開業を予定しています(参考)。他に、リッツカールトンやヒルトン、ラディソンなどの外資系ホテルチェーンも中央アジアへ進出しており、これはすべからく西側インテリジェンスの拠点化への布石ともとれます。

    (図表:1848年頃の中央アジア)

    (出典:Wikipedia)
    中央アジアの中でも国土・経済規模ともにトップクラスであるカザフスタンはかねてより注目されていましたが、近年はこれに加えウズベキスタンも活況を呈しています。ウズベキスタンでは2016年9月にソ連時代末期から約27年間にわたって君臨し続けたカリモフ大統領が死去し、ミルジヨエフ首相が大統領に選出されて以来、急進的に改革(「ウズベク風ペレストロイカ」)が推進されています。ソ連崩壊後、国家による厳格な管理下にあったウズベキスタン経済だが、今では外貨規制の緩和を軸とするビジネス環境の整備が進められています(参考)。具体的には、通貨「スム」への交換性付与、不正搾取の温床になっている機関の権限の制限などで自由を取り戻しつつあります(参考)

    また国家歳入の4分の1を占める綿花の栽培をめぐっては、長らく強制労働・児童労働問題が指摘されていましたが、2019年には米国、国際労働機関(ILO)などから改革姿勢が評価されたという経緯もあります。特に綿花生産高第2位の中国において、新疆ウイグル自治区での強制労働問題がフラクタルな形でハイライトされている現在、ウズベキスタンの綿花生産に対するマーケットの視線は無視できません(参考)

    (図表:ウズベキスタンの綿集積センター)

    (出典:Wikipedia)

    ビジネス環境の整備、人権問題の是正、さらには3,000万人以上の人口規模による人口ボーナス期にあることに鑑みても、ビジネスチャンスが拡大しつつあるウズベキスタンに対しては、もちろん日本企業も資源開発の分野で進出をすすめています。日本との直行便がある中央アジアの都市が、カザフスタンの首都ヌルスルタン(旧称アスタナ)とウズベキスタンの首都タシュケントの2都市のみという点からもそれは明らかです。

    日本とウズベキスタンとの関係は、近年では日本の外務省が2004年以来進めている「中央アジア+日本」対話による枠組みでの協力がハイライトされていますが、実はそれ以前より両国は深く関係しています。第二次世界大戦後のシベリア抑留によって多くの日本人がウズベキスタンへ連行され、オペラハウス「ナヴォイ劇場」やファルハドダムなどの建設に従事させられていたのです。しかし、この時の日本人の勤勉な働きぶりや地元住民との交流の様子は今日まで伝えられており(参考)、1966年のタシュケント大地震でもこの「ナヴォイ劇場」は倒壊を免れたことから、国内では日本製品への信頼が非常に高いといいます(参考)。また、現在のウズベキスタン副首相(投資・対外経済関係担当)であるアブドゥハキモフ氏は一橋大学に2年間留学した経験もある親日家である点も見逃せません(参考)


    では最後に、ウズベキスタンでの資源開発をめぐるグレート・ゲームの現状と課題はどうなっているのでしょうか。ウズベキスタン大統領府によると、2019年時点でウズベキスタン国内には73種類の鉱物資源と約2,000の埋蔵地域があり、このうち111の埋蔵地域で14の採掘事業が実施されており、うち6つで外国資本を含む事業が展開されています(参考)

    外国資本では、ソ連時代から関係が深いロシア企業や中国企業の存在感が高い中で、日本企業の進出については、サマルカンドでのいすゞ自動車株式会社による中型バス・トラック組立事業といった投資成功事例は存在するものの、大部分はODA関連による経済協力にとどまっています(参考)。インフラ整備や資源開発というウズベキスタン経済の「コア」の部分への進出も「政治レヴェル」では合意されているものの、ビジネス・レヴェルでこれがいかに展開していくか、引き続き注視していきたいと思います。

  • 銅価格高騰の行方 ~パンデミックと「脱炭素化」が与えるインパクト~
    銅価格高騰の行方 ~パンデミックと「脱炭素化」が与えるインパクト~

    銅価格が高騰を続けている。
    今年(2021年)5月、銅の国際価格は過去最高値を更新しました。去る2011年以来、10年ぶりの高値です。新型コロナウイルスが世界的に感染拡大した昨年(2020年)3月の安値からは2倍以上となっています。

    (図表:銅先物)


    (出典:
    Investing.com)
    銅は導電性の高さから、車や電化製品、半導体など様々な製品に利用される典型的な産業用金属で、「ドクター・コッパ―」と呼ばれその価格動向が世界の景気動向を診断します。
    近年の銅価格の上昇期としてはまず去る2011年、リーマンショック後の世界的な金融緩和による需要回復を受けておよそ9000米ドル/トンを超えました。銅鉱山の新規開発や米国の金融緩和終了、また2014年後半からの原油価格の急落・低迷などを受け価格は下落基調となりました。

    2016年以降になると、中国によるインフラ投資拡大などの影響により価格は再び上昇傾向となりました。中国の銅消費量は世界の半分近くを占め、中国生産者物価指数と銅価格の変動はほぼ同一の動きを示しています(参考)。今年(2021年)3月以降、中国の生産者物価指数は大幅に上昇しており、4月は去る2017年10月以来の伸びとなりました(参考)

    今次銅価格の高騰の要因のひとつは昨年来の新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で銅鉱山が閉鎖されたことなどによる供給源です。
    しかしもうひとつ大きな要因がとされているのが、世界的な「脱炭素化」への動きです。
    化石燃料に依存しないエネルギーへの転換にはスマートグリッド(次世代送電網)や風力タービンなどの環境インフラが不可欠です。同は導電性が高く発電設備に必要なエネルギー消費量も低減できることから、地価の送電線の材料に多く用いられます(参考)

    需要の増加とともに気になるのが供給量です。
    国際銅研究会(ICSG)がまとめた今年(2021年)1月~10月の世界銅地金需給バランスは48万2000トンの供給不足となっています(参考)。可採埋蔵量は年々増加している一方で推定可採年数は2011年の43年から減少傾向にあることも懸念材料です(参考)
    商品会社トラフィグラ・グループは脱炭素化により銅価格は今後10年以内に1万5000米ドルに達するとの予想を発表しています(参考)

    高騰する銅の代替品はあるのでしょうか。
    「脱炭素化」で需要が急増している送電線としての利用に関しては、銅の代わりにこれまですでにアルミが用いられてきました。
    アルミは銅に比べて伝導性が劣るものの、価格は銅に比べて安く、かつ産地が広いために比較的価格が安定しています。

    架空送電線では電線が軽いほどコストが下がることから選の直径を太くすることで導電性を補い、送電に用いられています。鋼心アルミより線(ACSR/AC)や鋼心耐熱アルミ合金より線(TACSR/AC)、鋼心イ号アルミ合金より線(IACSR/AC)、アルミ覆インバー心超耐熱又は特別耐熱アルミ合金より線(ZTACIR/XTACIR)、イ号アルミ合金より線(AAAC)、硬銅より線(HDCC)などがあります(参考)。 他方で都市部や市街地など送電鉄塔を新規に建設することが難しい地域などでは地中送電方式が用いられており、これにより自然現象の影響を受けないためより安全・確実に送電が可能となる。地中送電方式は架空送電方式に比べて送電容量が小さく、導電性高い銅が求められています。

    更に注目すべきはカーボンナノチューブ(CNT)を用いた電線です。
    カーボンナノチューブは同に比べて5分の1の軽さでありながら、銅鉄の20倍の強度を持ちます。銅の4倍程度の電気抵抗があるものの、開発途上であることから銅と同程度の電気抵抗にできる可能性があるとされています(参考)

    昨年にはオークリッジ国立研究所(ORNL)研究チームがカーボンナノチューブと銅マトリックスから構成される高導電性複合材料を開発しました。
    送電性における電力損失を低減されると期待されるのみならず、EV車における電動モーターのエネルギー効率を高め小型化することも可能といいいます(参考)

    新型コロナウイルスによるパンデミックの影響及び「脱炭素化」による需要の急増による銅価格の高騰は、銅の代替品にスポットライトを当てることになるのでしょうか。

  • パンデミックが終わる日とは!?『出口戦略』を探る。
    パンデミックが終わる日とは!?『出口戦略』を探る。

    70年前に発売されたアルベール・カミュの小説『ペスト』に、次のようなセリフがあります。

    「ペストと戦う唯一の方法は誠実さです」

    翻って新型コロナウイルス「第4波」を受け3回目の緊急事態宣言下にある日本ですが、政府は解除に向けた条件の設定や解除後のリバウンドを防ぐ手はずなどの「出口戦略」を未だ示せずにいます。
    他方でワクチン接種が進む米欧勢では、トンネルの出口がみえる状況になっています。
    では政治的、経済的、疫学的にパンデミックはいつ終わったといえるのでしょうか。欧米勢は「誠実」にパンデミックと戦っている中、我が国は「誠実さ」に欠けるというのか。各国がとる出口戦略を探る中で、日本に求められるメルクマールを導きたいと思います。

    世界保健機関(以下「WHO」)によると、そもそもパンデミックとは複数の国や大陸での「世界的な大流行」を指し、アウトブレイク(一定のコミュニティーでの集団感染)やエピデミック(特定地域での流行)とは区別されます(参考)。もともとCOVID-19はWHOによってエピデミックに分類されていましたが、昨年(2020年)3月11日にテドロス事務局長によってパンデミックとの認識が表明されました。そのため今後、米欧勢でのワクチン接種が進み、パンデミックの終息がみえてきても、日本を含めインド勢やシンガポール勢などのアジア勢などにおいて依然として感染拡大の様相を呈すれば、今次パンデミックは再びエピデミックへと転換される中で、地域間、国家間における格差がコントラストを強めるという次のフェーズも考えられます。

    (図表:WHO事務局長・テドロス=アダノム)

    (出典:Wikipedia)

    そのWHOが出した「COVID-19戦略」からは、以下の6つの指標が日常に戻るための「出口戦略」の参考となりそうです。
    すなわち、
    ①散発的な感染に抑える
    ②すべての感染者を検査・隔離する態勢の構築
    ③医療や介護現場での防護具確保など、拡大防止のリスク低減
    ④職場での感染予防
    ⑤他地域からウイルスの持ち込み警戒
    ⑥社会全体の理解と参画
    です。

    英オックスフォード大学は、この指標をさらに20の指標(学校閉鎖、職場閉鎖、公共イヴェントの中止など)に具体化し、パンデミックへの各国勢の対応(厳格度)を体系的に数値化したサイト「オックスフォードCovid-19政府対応トラッカー(OxCGRT)」を公開しています。裏を返せば、これらの指標がすべて緩和され0に近づけば、少なくとも政治的にはパンデミックの出口がみえることになりそうです。

    (図表:オックスフォードCovid-19政府対応トラッカー(OxCGRT))

    (出典:オックスフォード大学)

    では経済的にはどのレヴェルから出口がみえる、すなわちアフターコロナ経済へと移行したといえるのでしょうか。「危機は常に違う顔で現れる」といわれます。例えば、1929年の世界恐慌であれば(諸説あるものの)過剰生産と過剰投機の帰結として、2008年のリーマン・ショックであれば低所得者向け住宅ローンの焦げ付きの帰結として、それぞれ発生したとされますが、今次パンデミックによる経済危機は、これまでのようにマクロ・バランス(総供給=総需要)の悪化や、金融市場の混乱でもなく、新型コロナウイルスという「目に見えない敵」に対する個人レヴェルでの社会心理的要因に端を発している点に特徴があります。それによって、本来であれば安定的に推移する個人消費が大打撃を受けているのです。

    これを受け、各国勢では未曾有の財政金融政策が講じられており、その規模は世界全体で11兆ドルに迫るといいます(参考)。中でも米国勢は、今年(2021年)3月に1兆9,000億ドル(約200兆円)規模の経済対策を打ち出しており、特に3度にわたる現金給付(2020年3月に1,200ドル、2020年12月に600ドル、2021年3月に1,400ドル)を行い、景気回復の柱としています。他方で我が国でも昨年(2020年)4月に1人10万円の現金給付が行われたましたが、米国勢のように景気回復へは向かっていません。この違いは給付のタイミングにあります。

    すでにワクチン接種が昨年(2020年)12月以降に始まった米国勢においては、その現金給付は「景気対策」としての性格が強いものとなりましたが、日本のタイミングは生活維持のための「社会保障」という性格を強く帯びており、それゆえ生活に余裕のある中所得者層を中心に約7割が貯蓄に回ったとみられています(参考)

    米国勢の例をみても明らかなように、アフターコロナ経済への転換点は個人消費の回復に大きく依存していることから、特に日本において今後、現金給付や消費税の減免措置、GoToキャンペーンなど消費の喚起策が提示された時点で、経済的なトリガーが引かれることになるのではないでしょうか。

    最後に疫学的にパンデミックはいつ終わったといえるのでしょうか。これは政治的・経済的な出口戦略を考える上でも前提となる重要な指標ですが、結論としてはワクチン接種が進み、集団免疫を獲得した時点となります。問題はワクチン接種率ですが、WHOは人口の60~70パーセントがワクチンを接種する必要があるという見方を示していますが(参考)、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長ら米国勢の感染症専門家の間では70~85パーセントが転換点になるとの説が主流になっています(参考)

    現時点(2021年5月)で、イスラエル勢(62.8パーセント)は集団免疫に近づきつつあり、米国勢(47.3パーセント)でも来たる2022年正月までにこの水準に到達する見込みですが(参考)、アジア勢やアフリカ勢では後れを取っている状況を踏まえると、世界全体では7年を要する見通しです(参考)

    以上みてきたように、パンデミックからの出口戦略は政治的、経済的、疫学的なフェーズでそれぞれ開かれるものと思われます。そしてこれらのフェーズは世界的な協力のもと開かれるのではなく、各国の取り組みに大きく依拠しています。とくにオリンピック開催を控える日本としては、いかに「誠実」な取り組みを国内外に“喧伝”することができるかがカギとなってくるが、今後の展開を注視していきたいと思います。


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