2021年06月01日

銅価格高騰の行方 ~パンデミックと「脱炭素化」が与えるインパクト~

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銅価格が高騰を続けている。
今年(2021年)5月、銅の国際価格は過去最高値を更新しました。去る2011年以来、10年ぶりの高値です。新型コロナウイルスが世界的に感染拡大した昨年(2020年)3月の安値からは2倍以上となっています。

(図表:銅先物)


(出典:Investing.com)
銅は導電性の高さから、車や電化製品、半導体など様々な製品に利用される典型的な産業用金属で、「ドクター・コッパ―」と呼ばれその価格動向が世界の景気動向を診断します。
近年の銅価格の上昇期としてはまず去る2011年、リーマンショック後の世界的な金融緩和による需要回復を受けておよそ9000米ドル/トンを超えました。銅鉱山の新規開発や米国の金融緩和終了、また2014年後半からの原油価格の急落・低迷などを受け価格は下落基調となりました。

2016年以降になると、中国によるインフラ投資拡大などの影響により価格は再び上昇傾向となりました。中国の銅消費量は世界の半分近くを占め、中国生産者物価指数と銅価格の変動はほぼ同一の動きを示しています(参考)。今年(2021年)3月以降、中国の生産者物価指数は大幅に上昇しており、4月は去る2017年10月以来の伸びとなりました(参考)

今次銅価格の高騰の要因のひとつは昨年来の新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で銅鉱山が閉鎖されたことなどによる供給源です。
しかしもうひとつ大きな要因がとされているのが、世界的な「脱炭素化」への動きです。
化石燃料に依存しないエネルギーへの転換にはスマートグリッド(次世代送電網)や風力タービンなどの環境インフラが不可欠です。同は導電性が高く発電設備に必要なエネルギー消費量も低減できることから、地価の送電線の材料に多く用いられます(参考)

需要の増加とともに気になるのが供給量です。
国際銅研究会(ICSG)がまとめた今年(2021年)1月~10月の世界銅地金需給バランスは48万2000トンの供給不足となっています(参考)。可採埋蔵量は年々増加している一方で推定可採年数は2011年の43年から減少傾向にあることも懸念材料です(参考)
商品会社トラフィグラ・グループは脱炭素化により銅価格は今後10年以内に1万5000米ドルに達するとの予想を発表しています(参考)

高騰する銅の代替品はあるのでしょうか。
「脱炭素化」で需要が急増している送電線としての利用に関しては、銅の代わりにこれまですでにアルミが用いられてきました。
アルミは銅に比べて伝導性が劣るものの、価格は銅に比べて安く、かつ産地が広いために比較的価格が安定しています。

架空送電線では電線が軽いほどコストが下がることから選の直径を太くすることで導電性を補い、送電に用いられています。鋼心アルミより線(ACSR/AC)や鋼心耐熱アルミ合金より線(TACSR/AC)、鋼心イ号アルミ合金より線(IACSR/AC)、アルミ覆インバー心超耐熱又は特別耐熱アルミ合金より線(ZTACIR/XTACIR)、イ号アルミ合金より線(AAAC)、硬銅より線(HDCC)などがあります(参考)。 他方で都市部や市街地など送電鉄塔を新規に建設することが難しい地域などでは地中送電方式が用いられており、これにより自然現象の影響を受けないためより安全・確実に送電が可能となる。地中送電方式は架空送電方式に比べて送電容量が小さく、導電性高い銅が求められています。

更に注目すべきはカーボンナノチューブ(CNT)を用いた電線です。
カーボンナノチューブは同に比べて5分の1の軽さでありながら、銅鉄の20倍の強度を持ちます。銅の4倍程度の電気抵抗があるものの、開発途上であることから銅と同程度の電気抵抗にできる可能性があるとされています(参考)

昨年にはオークリッジ国立研究所(ORNL)研究チームがカーボンナノチューブと銅マトリックスから構成される高導電性複合材料を開発しました。
送電性における電力損失を低減されると期待されるのみならず、EV車における電動モーターのエネルギー効率を高め小型化することも可能といいいます(参考)

新型コロナウイルスによるパンデミックの影響及び「脱炭素化」による需要の急増による銅価格の高騰は、銅の代替品にスポットライトを当てることになるのでしょうか。







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