2021年03月27日

日本を一番好きな国、ベトナムは女神信仰の国だった。

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コロナで海外に行く機会はゼロになってしまいましたが、以前は随分と海外旅行に行っていました。
ボリビア、パラグアイ、インドetcと、一般的な親ならかなり心配するような第三国まで乗り出していたわけですが、両親は結構そんな危なっかしい旅の話を楽しんでいたと思いたい。というより止めてもどうせ行くだろうからしょうがない、と初めからお見通しだったには違いない。

今回は母より、「お父さん、膝も腰も悪くなったし、これから途上国(というか旅行するのに体力がいりそうな国)を旅行するのは難しくなっていくだろうから今のうちに旅行を企画して」とのミッションを受けた。そして、私はハノイ⇒ホイアン⇒フエ⇒ホーチミンというベトナム北上コースに決めたのです。
「日本のことが一番好きな国は?」で一位がベトナムだったこともあり*、フォー(ベトナムの米麺料理)作りにはまったり、ベトナムが私の中でちょっとしたブームだったという理由もありました。
前置きが長くなってしまいましたが、今回はハノイにあるベトナム女性博物館についてご紹介いたします。

海外旅行といえば、もちろん現地の人の生活を観察し、話してみると同時に、大抵の人は博物館、美術館といった文化施設に行くのではないでしょうか。残念なことに、世界遺産に登録されているタンロン遺跡は展示の仕方が煩雑で庭も手入れされておらず、ホーチミンにある国立美術館は一階にしか館員がおらずたとえ観光客が直接手で触れても気づけないだろうし、展示物は窓から入ってくる風やほこりが当たり放題という状態でした。国家、国民がこのような文化財産を大切に扱い、またそれをいかに説明し展示できるか、というのが国の文化的成熟には欠かせず、外国人から評価されやすい側面です。この点で、シンガポールやインドネシア、マレーシアが現代アートの新星を輩出している中、ベトナムからアーティストがなかなか浮上してこない理由を垣間見た気がしました。
さてそんな中で充実した展示でひときわ目を引いたのはハノイにあるベトナム女性博物館でした。文字通り、ベトナム女性について、“家庭での女性”、“歴史のなかの女性”、“女性のファッション”といった3つのテーマに分けて展示が行われていました。特別展としては、ベトナムの伝統信仰であるWorshipping Mother Goddess(地母神、慈母崇拝)に関わる展示がなされていました。

(ヴェトナム女性博物館:Wikipedia))

ベトナム人女性は美しく、よく働くといわれる。

トラン・アン・ユン監督の『青いパパイヤの香り』をご存じでしょうか。在仏ベトナム人監督、スタッフによってパリ郊外で撮影された50年代のサイゴンに生きる一人の女性の半生を描いた物語です。主人公や、使用人として主人公を雇う一家の母は、共に寡黙ながら(主人公のセリフは数えられるほど少ない)よく働き、思慮深い人物として描かれています。彼女らの静かな微笑みや優雅で落ち着いた動作は美しく、そして強く、古来の日本の母像を彷彿とさせるものがありました。

筆者のベトナム人女性のイメージはこの映画に感化されていましたが、現地の女性たちは大きい声で話し、
もっと快活で、そして働き者であった。男女問わずです。そして、東南アジア諸国の中でもサービス精神は随一といえるでしょう。
ベトナム人の精神には原始時代から女神信仰が浸透している。
農業国であったベトナムで、女神さまは土、水、稲を象徴していました。時代と共に、戦争の中で現れた英雄的女性や、大きな業績を成し遂げた王女、皇后なども「女神」として崇められてきたようです。また、カカア天下の国であり、金銭管理は女性が行い、家の登記も女性名義でなされることが多いとのこと。

歴史上も女性の活躍したエピソードに事欠きません。西暦40年頃、中国(後漢)の支配下でベトナム側に徴税権を取り戻すことに尽力し、中国からの反乱を二万もの軍を率いて制圧したチュン姉妹は、ハノイのハイ・バー・チュン区(ハイ=2、バー=女性の敬称)という区の名前の由来にもなっており、ベトナムの女性英雄として今でも親しまれているようです。

1987年にベトナム女性連合により設立されたベトナム女性博物館では、チュン姉妹からフランス統治時代の独立運動から南北分断後の女性の戦闘、ゲリラ活動が、女性の実名を挙げながら紹介されており、個人所有物の展示や当時の映像を見ることができました。
さらに印象的だったのは、現代社会で活躍する女性を紹介するコーナーです。それらは企業家や少数民族、ベトナム戦争を生き抜いたご老人など、様々な女性のインタビューや、写真パネル(ブログトップイメージ参照)が展示されていました。“女性”というテーマでここまで多岐に渡って網羅的な展示をしている博物館は見られな。その他の美術館がお粗末な管理状態のベトナムにおいて、改装を経て更に充実した展示を誇る女性博物館の存在はまさにベトナムの女性の強さを示しているように思え痛烈な印象を残した。

さて、1週間で4都市をかけ巡る個人旅行はかなりハードで最終日は歩くのもやっと・・・であった父ですが、
帰国後は年末もどこか行くか、と普段自分から提案なぞ滅多にしない彼が照れた顔で話すのを見て家族旅行の威力を知った次第です。







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