2021年03月23日

金融資産としても存在感を強めるワイン。そこに現れた新星「中国ワイン」は世界でどこまで通用するのか。

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ここ2-3年、グローバルに活躍するビジネス・パーソンの常識を身に着けることをテーマとした書籍やセミナーが流行しています。
たとえば西洋美術史といったアートの知識を身に着ける書籍が人気で大型書店に行くと類似のテーマを扱った本が平積みになっているのを見かけます。これの続編テーマとして出て注目を集めているのが、ワインです。

二日酔いになりやすいという欠点があるものの女性や海外(特に欧州)駐在を経験したことのある男性は特にワインを好きな方が多いようです。
また上述した本で取り扱われていることからも明らかなように日本以外、特に宗教上の理由とも相まって伝統的に嗜好性飲料として愛好してきた欧州を中心に世界中に愛好家がいます。
他方でワイン醸造家もそうした愛飲家の嗜好を満たすべく連日ワイン造りに励んでおり、またそのブランドを守るべくラベル一つとっても著名な芸術家にそのデザインを依頼するなど努力をしているようです。

(図表1 著名な芸術家がデザインした有名ワイン・セラーのラベル)

(出典:Château Mouton Rothschild)

もっともワインの歴史を想い起すと、紀元前4,100年前からアルメニアで製造されたことが分かっている一方で、エジプトやイラン、レバノンなどの中東でもつくられてきました。
それ以上にワイン醸造の歴史が古いとされているのが、実は中国です。
紹興酒といった黄酒の方が中国では歴史がありそうですが、実は中国でもワイン醸造の方が黄酒より古くからつくられていることはわかっています。

(図表2 中国における年間ワイン輸入量の推移)

(出典:SuperWine)

中国のワイン・マーケットの拡大は著しく、輸入ワイン量も増大し続けています。
その中でもフランスからの輸入量が著しく、実際2019年時点での国別輸入ワイン金額トップ国はフランスなのです

1. フランス:10億5,800万ドル
2. オーストラリア:7億2,325万ドル
3. チリ: 2億6,970万ドル
4. イタリア:1億6,840万ドル
5. スペイン:1億6,210万ドル
6. 米国: 7,550万ドル
7. 南アフリカ:32.9万ドル
8. ニュージーランド:2,877万ドル
9. アルゼンチン:2,618万ドル
10. ドイツ: 2,580ドル

そのフランスが興味深い動きを示しています。
世界的にも著名なワインブランドであるシャトー・ムートン・ロートシルトが10年かけて中国で醸造したワインを初めて発売したのです。

ワインの原料はブドウであり植物であるため、その土地の影響を大きく受けます。私は学生時代に同品種・同育成手法・同一環境ではあるものの唯一それぞれ南側・北側にあるために日当たりのみが異なる条件にあるブドウから醸造したワインを同時に試飲したことがありますが全くもって異なる味がしたことを覚えています。
それがフランスから中国に移れば当然生育条件が大きく異なるとしてもおかしくはないでしょう。

シャトー・ムートン・ロートシルトが醸造を行っている山東省では1892年に醸造を開始した烟台張裕葡萄醸酒を筆頭に欧米に通用するワインの醸造に励んできました。
一昨年にイタリアのワイン企業と提携した現地企業がワインのテーマパークを開園しています。そこに欧州ワインの本家本元が移ってきたのです。欧州では近年の異常気象を受けてワイン収穫量が激変したり品質が著しく変化したりしていることが知られています。
また寧夏回族自治区でも近年ワイン醸造が活発になっており、モエ・ヘネシー・ディアジオも同地にワイナリーを創設しているのです。グローバル・ワイン・マーケットで中国ワインが一流ブランドとして知られる日もそう遠くはないのです。

ただし1点だけ留意しなければならないことがあります。
それはこうしたワインというのはあくまでも「欧米流ワイン」であるということです。
すなわち欧米人の作り方でつくったものなのです。
実は中国では新疆ウイグル自治区でもワイン製造が有名です。
同地では紀元前からぶどうを栽培していたことが判明しており、同地での作り方は必ずしも欧米流のものに則っているわけでもないのです。かつては米国が独占的に築いてきたデジタル・テクノロジー・マーケットも今やアリババやテンセントといった企業が現れたことで、欧米流のデジタル・マーケットに比肩する上、併存する形で欧米から見れば独自の中国型デジタル・マーケットが現れています。そういった経緯やそもそものワイン醸造の歴史を踏まえれば、中国ブランドでしかも中国独自の製法で造ったまったく新しいワイン・カテゴリーが産まれる可能性があるのです。

日本でも甲府や様々な箇所でワイン醸造は活発化しており、私が宮崎で飲んだ綾ワインを始めとした宮崎ワインもとても美味しかったのを覚えています。実は17世紀から熊本藩でワイン製造がなされていたことが学術研究で判明しており、
各地で新たなワイン栽培の試行錯誤がなされる中で日本にでも新たなワイン・カテゴリーの創出に至る可能性があるというのです。

ワインは金融資産としても重要な意義を有してきました。
そうした意味でも中国ワインの注目が集まりつつあるのです。
ワインと言えば欧州という時代はもはや終わってしまうのかもしれません。






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