2021年03月19日

アメリカとイギリスが支配するマーケットの中で、日本は「空飛ぶクルマ」を味方にマーケットを席巻できるのか。

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日々の生活の中に当然のようにある物の一つに、車はどうでしょうか。
一家に一台の車、日々の通勤で利用するバス、旅行に行く際の交通手段としての利用など、様々な場面の中で空気のように馴染んでいるのではないでしょうか。
日本の産業という中においては、大きな存在感を発している自動車業界。
そんな自動車業界で今大きな話題があるのです。それが「空飛ぶクルマ」である。「クルマ」とは銘打っているものの、厳密には「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」と定義されており、「航空機の電動化」が中核的な技術であるといいます(参考)
しかし航空機メーカーだけでなく、電動化に伴い電子機器メーカー、更には自動車メーカーも参入し、まさに群雄割拠の動きを見せています。

そもそもこの「空飛ぶクルマ」は我が国ではなく海外で進展してきたものでした。
その背景にはパリ協定に象徴される二酸化炭素排出量との関係があります。その推進国の一つがヨーロッパです。
ヨーロッパは元来、環境に良いとしてディーゼル車を推進してきました。しかしフォルクスワーゲン社の排ガス不正問題に端を発して一気にディーゼル車を駆逐する動きを見せているのです。たとえばパリ協定の主導者であるフランスでは、マクロン政権が「脱ディーゼル」を理由として更なる増税を企図しており、反対するデモが各地で生じました(参考)。他方で推進してきたのが電気自動車であり、「空飛ぶクルマ」もその延長線上で推進されているものなのです。たとえばスロバキアの企業が開発した「AeroMobil4.0」はヨーロッパで飛行許可を取得しており、飛行実験を行う予定まであります。
日本でも実証実験を推進しようとしていますが、アメリカではウーバーが米航空宇宙局(NASA)と提携し2023年の実用化に向けた研究開発を実施しています。
翻って日本を見ていると、2021年にエアバスが実証実験を行うのを皮切りに2023年には国内県ベンチャーを含めた各社が実証実験を行っていくというロードマップに対する議論案を経済産業省が公開しています(参考)
もちろん、民間も動いています。既に「ドローン・ファンド」が登場するなど、この分野への投資を進めています(参考)
またトヨタ自動車(証券番号:7203)やパナソニック(証券番号:6752)、またNEC(証券番号:6701)らが投資する技術者集団「CARTIVATOR」が2020年にデモ飛行を行うべく機体開発を行っていました(参考)
この「空飛ぶクルマ」は電動化がカギになっているため、部品メーカー、特に電子機器メーカーや制御メーカーに大きな影響を与え得ます。その中でも注目すべきなのが≪バッテリー≫です。現在、車載リチウム・イオン電池のマーケットは日中韓の3強が大きなシェアを有するマーケットであり、日本ではパナソニック(証券番号:6752)がその代表格です(参考)
但し、依然として欧米が一歩先に進んでいる感は否めないのが現実です。またここでは詳述しませんでしたが、中国が猛烈な勢いで開発を進めています。他方で、部品に関しては我が国が強みをもつセクターも少なくありません。したがって、もし「空飛ぶクルマ」への投資を検討するならば、完成車自体への投資を検討するのも一つの手ではあるが、そこへ供給する部品メーカーへの投資を検討するのも一つの手ででもあります。

ただし1点だけ留意点を記述するならば、実は、航空機エンジン・マーケットは米英でマーケットを寡占している状況にあるというのが業界での常識です。具体的には、「空飛ぶクルマ」の開発にも積極的に名乗りをあげている英ロールス・ロイス社、また世界的な製造業コングロマリットである米GE社、そして米プラットアンドホイットニー社の米英3社が“握って”いるマーケットなのです(参考)。今回俎上に上げた「空飛ぶクルマ」はあくまでも個人や小規模に向けた輸送機器として開発を進めているものです。これが万が一、多人数を運ぶ旅客機の様なものになってくると、こうした米英メーカーとの対立を迎えることとなると考えるのが妥当ではないでしょうか。したがって、直近にこのような大型の「空飛ぶクルマ」の開発案が日本から出た際には注意が必要でしょう。






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