2021年03月14日

経済の豊かさが「命の水」を作るアルコール業界を崩壊させる。

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健康の増進が叫ばれる今でこそある種の罪悪感すら抱かれつつ嗜まれる「お酒」。
しかし、歴史を振り返ると「酒」は人類にとって「命の水」だったようです。

 

「ウイスキー」はラテン語の「命の水(aqua vitae)」のゲール語翻訳「Uisce beatha」が訛ったものです。
ロシア語の“wodka”(ウォッカ)も、デンマーク語/ノルウェー語(Akvavit)
もしくはドイツ語(Aquavit)の「アクアヴィット」(ジャガイモを原料とする蒸留酒)も「命の水」という意味です。
またフランス語では“eau-de-vie”(命の水)が「ブランデー」を指します。

現代の様にきれいな飲み水がいつでもすぐに手に入るわけではない時代において
「水分を補給すること」は驚くべきことですが、すなわちアルコールだったのです。
文字通り「命を保つためのもの」でした。

 

(図表:リキュール)

(出典:Wikipedia

 

その後、酒は一国の社会経済をも映し出すものとなります。
世界的に見ても所得水準がある程度高まるとまず価格が安く日用品的なビールなどが飲まれるようになります。
そして次にワインのような嗜好性の高い醸造酒へと移る傾向があるようです(参考)。

1989年から2018年の間の各酒類の販売(消費)数量構成比率の推移から日本の嗜好の変遷が見えてきます。
およそ30年前(1989年、平成元年)はビールの割合が圧倒的に大きく全体の71%も占めていました。
2位は清酒(15.7%)、3位は焼酎(5.8%)でした。

次の10年(1998年、平成10年)は1位がビール(61.9%)、2位が清酒(11.1%)、
そして発泡酒が焼酎を追い越し第3位の割合を占めるようになりました(9.8%)。

2008年(平成20年)の1位はビール(35.0%)、2位が発泡酒(15.3%)、
そして3位に初めてリキュール/ウイスキー等(13.6%)が入ります。

1位を保持したままのビールですが、2016年(平成28年)には30年前のおよそ半分の割合に落ちています。
リキュール、ウイスキー等は2位へと上がり(24.4%)、
発泡酒がトップ3から消え、代わりに焼酎(9.9%)が3位に復活します。

社会が成熟し30年前に比べて明らかに選択肢が増え、嗜好の多様性が伺えます。

 

(図表:各酒類の販売(消費)数量構成比率の推移)

(出典:国税庁

 

もっとも社会経済がさらに進んだ先に「お酒を飲まなくなる」という傾向が現れることをご存じでしょうか。
お酒を飲む習慣のある人は男女ともに30歳代から大幅に増加し70歳以上では減少する傾向があります。
したがって人口構成の変化がお酒の消費に与える影響は大きいのです。
先進国では少子化(そしてそれに伴う高齢化)が起こるようになっています。
日本の成人人口に占める60歳以上の割合は平成元年度の23.2%から平成30年度には41.1%にまで増加しています。
生産年齢人口は1997年を境に減少が続いています。
そして2007年から2017年にかけて国産ビールの課税移出量は約25%も減少しています。
しかし、さらに見てみると今実際に起こっていることは30代~40代の酒離れ(支出減少)という現象のようなのです。

このことが成熟した社会が最終的に「健康志向(ヘルスケア)」へと走る傾向と関連しているものと考えられます。
経済的に豊かになるほど健康になるという研究結果があります。
その原因はいまだに突き止められていません。
経済的余裕が健康に関する知識の向上につながり、
その結果として健康につながるような行動や選択が増えるとする説もあります。

 

悠久の歴史を持つ「お酒」はこの先、私たちをどこへ誘っていくのでしょうか?







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