コロナ後の人生。| 気づきに満ちた世界と私

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金銀比価と“金融ショック”:日本のマーケットはどの国から一番影響を受けるのでしょうか。今だからこそ株式マーケットにおけるリスクを知る。
   
  • 「日光」でコロナウィルスは死滅するのか。日光力がマーケットを動かす日。
    「日光」でコロナウィルスは死滅するのか。日光力がマーケットを動かす日。

    2020年4月、トランプ前米大統領が新型コロナウイルスの感染拡大に際して「たくさんの紫外線か、または強い光を体に当ててみたらどうだろう」との発言をしたのを覚えているでしょうか(参考)

    米国土安全保障省のビル・ブライアン次官が新型コロナウイルスは湿気や熱にさらされるとはるかに速いペースで死滅する旨述べたことを受けた発言でした。

    同大統領は当該発言と同時に「殺菌効果のある漂白剤や消毒剤の殺菌効果を身体内部に注入することはできないか」などと述べており、
    これに対して世界保健機構(WHO)が紫外線は皮膚の炎症を引き起こす可能性があり、
    漂白剤は有毒化学物質であり吸入で灰が損傷する恐れがあるなどと指摘しました。他にも大学教授や医者などがこうした発言の危険性を指摘する事態とまで当時はなりました。

    (図表:ドナルド・トランプ)

    Official portrait of President Donald J. Trump, Friday, October 6, 2017. (Official White House photo by Shealah Craighead)

    (出典:Wikipedia)

    上述の発言は行き過ぎであるとしても、実は日光が新型コロナウイルスによる死亡リスクを低減する旨の研究結果が“The British Journal of Dermatology”に掲載されました(参考)

    同研究では1日の平均紫外線量が100キロジュール/平方メートル増加すると新型コロナウイルスによる死亡リスク比(特定の人口集団が死亡する可能性と、他のすべての人口集団が死亡するリスクとの比)が米国勢では29パーセント、イタリア勢及びイギリス勢では32パーセント減少したと推定されています。

    この死亡リスク減はなぜ起こるのでしょうか。

    そもそも日光は新型コロナウイルスに限らずインフルエンザウイルスや結核など他の感染症予防との関係でもその重要性が注目されてきました。
    従来これは免疫機能にかかわる「ビタミンD」の生成に日光がかかわるからであるという理解が主流でした(「日光」でコロナウィルスは死滅するのか。参考)。このビタミンDは魚介類やキノコ類にも多く含まれるほかサプリメントなども存在するため、日光に当たらずとも経口摂取はある程度可能でした。
    ところが今次研究においては日光の効果についてこれまでのビタミンDとは異なる意味で重要性が指摘されているのです。

    同研究はUVB(タイプB紫外線)レヴェルが低く体内で有意なビタミンDレヴェルを生成できない地域で行われました。
    このため日光と死亡リスクの相関関係について
    (1)日光を浴びた皮膚から一酸化窒素が放出されることによりSARS-CoV-2ウイルスの複製能力が低下する可能性、
    (2)日光への曝露量の増加は心臓発作の減少や血圧の低下と関連しているとされ、これらの要因が新型コロナウイルスによる死亡リスクを低下させる可能性という2つの理由が示されています。

    世界で年間を通して紫外線の照射量が高い国には例えばケニア勢(ナイロビ)、パナマ勢(パナマ)、タイ勢(バンコク)、スリランカ勢(コロンボ)、シンガポール勢(シンガポール)などがあります。
    これらの国の死亡者数は(2021年)4月12日時点でケニア勢2348人、パナマ勢6163人、タイ勢97人、スリランカ勢598人、シンガポール勢30人でした。
    そもそもの人口や統計の信頼性という問題はあるものの、確かに比較的死亡者数は少ないと言えるのではないでしょうか。

    日光の重要性や光の治療効果は古代より認識されていました。
    古代エジプトでは日光浴が盛んにおこなわれ、古代ギリシアでは宝石などを通して色を付けた日光による日光療法も実践されていました。

    (図表:Akhenaten, Nefertiti and their children)

    (出典:Wikipedia)

    しかしここで重視されていたのは「紫外線」ではなく「可視光線」だったのです。
    こうした紫外線(及び赤外線)や可視光線といった太陽光のスペクトル分解は人間の資格をもとにした分類であり、
    例えばある種の昆虫や鳥類は紫外線が黒く見えることで花の蜜のある場所を把握しているといわれています。
    このように生存に必要な部分の光が見えるように進化していると考えれば、人間にとって必要な光はいわゆる「可視光線」にあたる部分の光であるとも考えられます。

    光の持つ効果にはいまだ明らかでない部分も多いです。
    今後新型コロナウイルスをきっかけに日光の持つ意味が改めて明らかにされていくのでしょうか。
    また日光の効果が注目されることで、日照時間が長い、もしくは日光の照射量が多い地域に人口が集中するといった事態に進展していき新しいマーケットが生まれるのでしょうか。

  • 世界で評価される日本クオリティ:日本産キャビアが世界を席巻する日
    世界で評価される日本クオリティ:日本産キャビアが世界を席巻する日

    中国でキャビアの生産量シェアが急増している旨報道されてるのをご存じでしょうか。
    中国では2003年ごろからチョウザメの養殖が開始され、現在では世界のチョウザメ養殖場の半分以上、キャビア生産量の30パーセント以上を同国が占めているます(
    参考)

    (図表:キャビア)

    (出典:Wikipedia)

    キャビアはカスピ海に面したロシアが主な産地として知られ、フォアグラ、トリュフとともに世界三大珍味に数えられてきました。
    しかしソ連崩壊後のロシアではキャビアの親であるチョウザメの管理体制が崩壊し、闇市場での流通が激増したことにより絶滅の危機に瀕したため去る2006年にワシントン条約によりカスピ海産キャビアの国際取引が当面禁止されることとなりました。これによりキャビアの値段は高騰し、養殖キャビアの生産も世界各地で行われることとなりました。

    こうした中キャビア市場で躍進しているのが「中国産キャビア」なのですが、実は日本でもチョウザメの養殖及びキャビアの生産は行われているのです。

    国内におけるキャビア生産の動きとしては北海道美深町(美深キャビア)、茨城県つくば市(下町キャビア)、岐阜県高山市(奥飛騨キャビア)、和歌山県新宮市(近代キャビア)、香川県東かがわ市(生キャビア)、高知県高知市(よさこいキャビア)、岡山県新見市(新見産フレッシュキャビア)、島根県邑南町(ベステルキャビア、アムールキャビア)、広島県広島市(生キャビア)、宮崎県(宮崎キャビア1983)などがあります(参考)

    養殖技術の進歩も目覚ましく、例えば「美深キャビア」(北海道美深町)は、同町が1983年からチョウザメの養殖に取り組み1993年に初めて採卵に成功したものの産量が少なく、今年(2021年)1月22日に初めて商品化されました(参考)
    一方宮崎県では北海道美深町と同じ1983年にチョウザメ養殖を始め、2004年に国内初の完全養殖に成功した後、去る2013年には「宮崎キャビア1983」として販売を始めました。既に海外への輸出も始まっています。「日本産キャビア」は養殖キャビアシェアで世界一を占める中国勢にも輸出され、その品質が評価されており、同県では輸出に向け品質の良い「日本産キャビア」として国内の他の産地との連携の動きも進められています(参考)

    アメリカではキャビアの消費が増加しており、去る2019年11月までの1年間でキャビアの輸入額も16億9000万米ドルと前年に比べ3.5パーセント以上増加しています。
    「日本産キャビア」は今後ますます拡大すると見られるキャビア市場に進出していくこととなるのでしょうか。

  • デジタル通貨はどこまで信頼できるのか:中央銀行の「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」という密やかな企て。
    デジタル通貨はどこまで信頼できるのか:中央銀行の「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」という密やかな企て。

    中国が「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」に関するグローバル・ルールを提案した旨の報道がなされています(参考)
    中国は去る2014年来、世界に先駆けた中央銀行デジタル通貨(デジタル人民元)の導入に注力してきました。これを推進する中国人民銀行(PBOC)のデジタル通貨研究所局長が国際決済銀行のセミナーにおいて中央銀行デジタル通貨発行に関わる一連のルールを提案したのです。

    中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入の議論は世界的に活発に行われています。しかし特に資本主義国においてはその導入により中央銀行以外の民間銀行の地盤沈下を招くといった問題が懸念されており、実現には至っていないのが現状です。

    こうした中、日本の中央銀行である日本銀行(以下「日銀」)は去る(2021年)3月26日、「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」を新たに設置すると発表ました(参考)
    日銀は直近での中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行は予定していないものの、将来的にこうした決済システムが世界のスタンダードとなる可能性から「準備をしておくことが重要」である旨、同「連絡協議会」冒頭あいさつにおいて日銀総裁が述べています(参考)。
    また中央銀行デジタル通貨(CBDC)の決済システムを担うのが民間企業となることなどから、今月(2021年4月)開始予定の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験の円滑な実施に資するよう、民間事業者との情報共有を図ることが同「連絡協議会」の目的であるとしています。

    では日銀はどのような中央銀行デジタル通貨(CBDC)を構想しているのでしょうか。
    2020年7月2日、日銀は「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的課題」と題したレポートを発表しました。
    ここでは中央銀行デジタル通貨(CBDC)が現金と同等の機能を持つために「ユニヴァーサル・アクセス(電子端末へのアクセスが難しい子どもや高齢者の考慮)」と「強靭性(地震等の災害時にも利用できるオフライン決済機能)」が要件とされます。さらに同レポートではブロックチェーンを含む分散型台帳技術(DLT)の活用が示唆されています。

    中央銀行デジタル通貨(CBDC)はもともと、デジタル化の中キャッシュレス社会が推進されるとともに是非が議論されてきました。
    ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨はブロックチェーンをその取引データ(トランザクション)の技術的基盤としています。
    中央銀行デジタル通貨(CBDC)が世界規模で発行されその特性が最大限活かされるためには、各中央銀行デジタル通貨(CBDC)インター・オペラビリティ(相互互換性)が重要となります。
    こうした観点から中央銀行デジタル通貨(CBDC)がもし発行されるとすればブロックチェーンを基盤としたものとなる可能性が高いと言えるのではないでしょうか。

    ブロックチェーンは「ハッシュ関数」と呼ばれる取引データの暗号化技術などを用い、改ざんされることはないとされていました。
    ところが去る2018年には国産仮想通貨である「モナコイン」が大規模攻撃を受けブロックチェーンの書き換えにより1000万円以上の損害を受けたのです(参考)
    また翌2019年にはビットコインやイーサリアムでもデータの書き換えによる二重引き出しといった手法でのハッキングが行われました(参考)
    これらの実行された手口に対しても現状対抗策は出されていません。

    加えて2021年2月末から我が国のメガバンクのひとつであるみずほ銀行ではシステム障害が相次ぎ、通帳がATMに取り込まれるなどといった事例が相次いだことも記憶に新しいのではないでしょうか。
    民間企業が中央銀行デジタル通貨(CBDC)全体の決済システムを担うとき、こうしたトラブルが起これば決済システムは機能するのでしょうか。

    中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入への動きは、デフォルトへのカウントダウンとなるのでしょうか。

  • 『仮想通貨』が救う災害大国日本の未来:世界で検討される仮想通貨の活用方法。
    『仮想通貨』が救う災害大国日本の未来:世界で検討される仮想通貨の活用方法。

    台風と言えば、日本に生まれたからには、知らずに一生を終えることが無いといえるぐらい、度々発生する自然災害の一つです。
    しかしその被害を巡る報告は依然としてとどまることを知りません。
    むしろその被害実態が明るみに出るにつれて、私たちは自然災害の脅威を改めて認識せざるを得ません。

    (図表1 台風19号の影響で水没した北陸新幹線の車両)

    (出典:毎日新聞)

    他方で、台風よりも「3.11」や阪神淡路大震災といったレベルでの災害を想い起した方がより鮮明になりますが、
    大規模災害が生じた際の問題の一つがどうやって経済活動を再開させるかであり、その中でも売買をどうやって行うかが問題になります。
    つまり、家屋が潰されたり預金通帳や財布を紛失せざるを得なかったりする中で、現金を供給しモノの売り買いを再開させるのが困難である点をいかに考えるかということです。また被災地において犯罪件数が増大することもよく知られており財産に危機が生じ得ることにも留意が必要です。
    通常、銀行利用に支障が出るほどの災害が発生した場合、財務省や日本銀行が特例措置を金融機関に要請します。
    たとえば現預金の引き出しに関係する部分について、台風19号を受けて関東財務局と日銀は千葉県の金融機関にこうした主旨の要請を行っています:

    ●預貯金取扱金融機関の場合、預金証書、通帳を紛失した場合でも、災害被災者の被災状況を踏まえた確認を行い、預金者であることを確認して払戻しに応じ、届出の印鑑のない場合には拇印にて応じる。状況次第では、定期預金、定期積金等の期限前払戻しにも応じる。手形・小切手や電子記録債権も配慮した上で取り立て等を行う

    こうした措置が有効なのは、我々日本人が既存の日本円に対する信用を充分に有しており、
    また災害によって致命的な通貨価値の欠如には至らないと外国を含めた人々が認識しているからです。
    つまり、国が変わればこうした事情は異なってくるのです。たとえば地震やハリケーンの影響を良く受けるハイチは政情が不安定なこともあり、災害が発生すると国際的な支援を受けますが、被災者に如何に現金を供給するかは大きな課題となっています。

    そうした中で新たな動きがカリブから生じました。バハマ政府が自然災害対策用にデジタル通貨を発行することを公表したのです。今回発行することとした「Sand Dollar」と呼ばれるブロックチェーンベースの法定通貨を広めるため、関連付けられたデジタルウォレットと身元確認情報を含むカードが国民に付与される予定だといいます。
    このようにデジタル通貨の中でも特に仮想通貨を自然災害用に導入することによるメリットについての考えを述べます:

    ●サーバーが被災することによる(電子的な)金融システムの脆弱性をブロックチェーンでカバーできる

    ●実物としての「現金(貨幣・紙幣)」を利用する必要が無いため、被災時の持ち出しが容易となる。また被災者への現金供給もデジタル上で容易に実施でき、現物(貨幣・紙幣)を運送し配分するコストや時間を削減することができる

    ●ビットコインはインターネットに接続できない「オフライン」の状態であっても取引を行うことが可能であることが知られている。したがって海底ケーブルの切断や基地局の被災といった復旧に時間をかかることすらあり得る事態が生じ、既存のデジタル通貨が利用しづらい事態になったとしても、決済が可能な状態になり得る

    小規模な自治体において地域通貨の利用が進んでおり、特にそれを仮想通貨技術を利用して進められつつあります。
    他方で、上述したメリットを総合するならば、大都市圏こそ、日本経済、更にはグローバル経済に与えるインパクトを考慮して仮想通貨を利用して今の日本円をカバーするということも想定し得るのです。
    まだまだ、新たな仮想通貨の利用方法はあるようです。

  • 金銀比価と“金融ショック”:日本のマーケットはどの国から一番影響を受けるのでしょうか。今だからこそ株式マーケットにおけるリスクを知る。
    金銀比価と“金融ショック”:日本のマーケットはどの国から一番影響を受けるのでしょうか。今だからこそ株式マーケットにおけるリスクを知る。

    世界各国の株式マーケットにおいて実際にリスクが本当に迫っているのでしょうか。
    そうだとしたらどのようなメカニズムでそのリスクが波及していく可能性があるのかを今回は分析していきます。
    具体的には、まず一般的にリスク尺度とされる金銀比価と株価との関係性を見ていきます。そして、時系列分析と呼ばれる数学的手法を用いて、ある株式マーケットにおいてショックが発生した場合、どの程度のショックが他マーケットに波及するのかを定量的に試算したいと思います。

    金融マーケットにおいて「安全資産」と呼ばれるものが複数あるのはご存じでしょうか。典型的なのが国債です。
    国家による税金が返済原資であることなどから、株式マーケットにおいて急な下落が生じるとまずは国債(債券)マーケットに逃げるという流れがあります。しかしこれは、「あった」と言うべきものになってしまいました。リーマン・ショック以来、皆様ご存じの通り、国債が安全でないことは周知の事実となったからです。
    それ以上にグローバルで「安全資産」として重要視されているのが金(ゴールド)です。他方で、歴史的に通貨として金と並んで使われてきたのが銀でした。現在はその需要の殆どを工業用や医療用・消費者製品用が半数近くを占めており、銀は景気に敏感な貴金属とされています
    (参考)。リスク局面では「安全資産」であるとされる金への逃避(「金買い」)が進む一方で実需の強い銀は売却(「銀売り」)が進むため、この2つの貴金属の価格比(金銀比価(Gold Silver Ratio))(参考:金銀比価は銀の価格に対する金価格の倍率として算出する)はグローバルにおけるリスク指標として重要なものであると言えるのではないでしょうか。
    この金銀比価を日本(日経平均)や米国(ダウ平均)、英国(FTSE)、欧州(その代表としてドイツ(DAX))、さらには中国(上海総合指数)と韓国(韓国総合指数)の各国株式マーケットと比較したのがこれから紹介する図表1から図表6です。
    これらを見ると概ね各株式指数と「逆相関」があることが分かると思います。逆に特徴的なのが、2011年以降の日本です。2011年中旬から昨年中旬までは順相関を有しています。1980年代中旬から後半(1988年)でもこのような動きを見せています。ここからもアベノミクスが平成バブルの“相似象(繰り返し)”である可能性が示唆されています。
    他方で注目したい点が、日本や米国、中国、そして韓国の直近の動きがそれまでから一転し順相関を見せている点です。こうなった場合、三度反転が示唆されます。

    (図表1 日経平均と金銀比価の日次推移)

    (図表2 ダウ平均と金銀比価の日次推移)

    (図表3 英FTSEと金銀比価の日次推移)

    (図表4 独DAXと金銀比価の日次推移)

    (図表5 上海総合指数と金銀比価の日次推移)

    (図表6 韓国と金銀比価の日次推移)

    (出典(いずれも):筆者作成)

    では、仮にある株式マーケットにおいてショックが生じた場合、他国マーケットに対して如何なるショックを与える可能性があるのでしょうか。これを検証するのに頻用されるのが時系列解析と呼ばれる数学的手法です。これを用いて定量的に分析してみます。
    ここで用いるのは、ある株式マーケットの終値が、前日の終値およびその他マーケットの前日の終値で説明されるという時系列モデルです(※10)。このモデルを用いると、ある指数の基準時点(0日目)に1標準偏差分のショック(上昇ないし下落)が生じた場合に、それ以後(1日目、2日目…)の自分ないし別指数にどの程度のショックがどちらの方向(上昇なのか下落なのか)に生じるかを算出できるのです。
    この算出結果をまとめたのが、下記の図表7から図表12です。たとえば図表7を見てみてください。これは日経平均がある基準日(横軸)に1標準偏差分だけ変動した場合に、左上段から右上段、左中段…、の順番で(1)日経平均、(2)ダウ平均、(3)英FTSE、(4)独DAX、(5)上海総合指数、そして(6)韓国総合指数のそれぞれが、翌日以降(横軸で1、2、3…)の最長5日後までにどの程度の変動を与えるかを示すものです。
    たとえば最左上(日経平均への影響を表す)のグラフにおいて、0時点(横軸)において期待値よりも1標準偏差(縦軸)だけ余分にある方向へ変動したとき、翌日(横軸の1)に-0.156標準偏差分だけ逆方向に変動する可能性が示唆されます。他方で、その他の国では韓国を除きあまり影響が無いことが分かります。また2日目以降ではその影響が全てのマーケットにおいて影響が殆ど失われています。

    (図表7 日経平均が1単位変動した際に各株式マーケットに与えるインパクト)

    (図表8 ダウ平均が1単位変動した際に各株式マーケットに与えるインパクト)

    (図表9 英FTSEが1単位変動した際に各株式マーケットに与えるインパクト)

    (図表10 独DAXが1単位変動した際に各株式マーケットに与えるインパクト)

    (図表11 上海総合指数が1単位変動した際に各株式マーケットに与えるインパクト)

    (図表12 韓国総合指数が1単位変動した際に各株式マーケットに与えるインパクト)

    (出典(いずれも):筆者作成)

    各株式マーケットが動いたときに日本株が受けるインパクトに関して以上の結果をまとめます。

    ●日本が最も大きく影響を受けるのは米国です。米株式マーケットがその期待値よりも1標準偏差だけある方向に変動すると、日本株マーケットはその翌日に期待値よりも0.549標準偏差分だけ同じ方向に変動する可能性があります。
    ●次に影響を受けるのが欧州(英国、ドイツ)です。英国株マーケットが1標準偏差だけある方向に変動すると、日本株マーケットはその翌日に期待値よりも0.190標準偏差分だけ同じ方向に変動する可能性があります。他方でドイツ株マーケットが1標準偏差だけある方向に変動すると、日本株マーケットはその翌日に期待値よりも0.124標準偏差分だけ同じ方向に変動する可能性が在ります。
    ●他方で逆の影響を受けるのがアジア(中国、韓国)です。上海株マーケットが1標準偏差だけある方向に変動すると、日本株マーケットはその翌日に期待値よりも0.191標準偏差分だけ逆方向に変動する可能性があります。他方で韓国株マーケットが1標準偏差だけある方向に変動すると、日本株マーケットはその翌日に期待値よりも0.053標準偏差分だけ逆方向に変動する一方でその翌日には初日と同方向に0.096標準偏差分だけ変動する可能性があります。

    このように日本株マーケットは米欧株と強い相関があることが示唆される一方で、それに比較するとアジア株の影響力は相対的に低いことが示唆されます。他方で興味深いのはアジア株が下落したときのショック到来までにラグが大きい(翌々日以降に到来する)蓋然性が高いことです。
    日本におけるショックを考えると米国がまず重要と言われます。実際、その影響力が大きいことは定量的にも明らかとなりました。ただし、中国、そして韓国の直近の動きを無視することはできません。それは定量的に見るとすぐには日本に反映されない可能性があります。我が国の株式マーケットは外国人投資家が半数以上を購入しています。つまり外国株の動きに大きく影響を受けることを意味するのです。その中でも、特にアジアに目を向けながらつぶさに見つめる必要があるのではないでしょうか

  • 『月』が影響を与える!?マーケットの世界~天体の活動と金融マーケットの関係性をひも解く~
    『月』が影響を与える!?マーケットの世界~天体の活動と金融マーケットの関係性をひも解く~

    株式マーケットを分析する手法には大きく分けて2つがあります。
    1つが対象企業の財務状態などを基にその企業株を分析するファンダメンタル分析です。
    もう1つが株価の時系列推移(チャート)の形状の類似性(相似性)からインプリケーションを得るテクニカル分析です。
    他にも統計学に基づいた数理モデルを用いた分析など様々なものがあります。
    他方で、数理的な分析をする場合やテクニカル分析を行う際には、別の指標やイベントとの関係性を検討する場合もあります。
    たとえば株価の将来推移を考えるのにドル円マーケットの動向を検討するというものです。両者に相関があるという仮定の下、もしくは相関の有無を検討すべく、こうした分析を行います。

    相関関係とは一方の指標が上昇(増加)した場合のもう一方の指標の上昇(増加)しやすさを表します。
    因果関係よりも緩い関係性です。したがって、因果的には一見無関係に見える二者間に相関関係があることも少なくはないです。ただし、逆に実際には別の因果がそれらの間に介在するために見かけ上の相関が生じている場合もあり得るため、注意が必要です。
    そのような相関ペアの中には、大学といったアカデミックでは表立って取り上げられることが少ないものの、トレーダーといった現場の中で経験則的に正しいと“流布”されている様々なペアがあるのをご存じでしょうか。
    その典型例が太陽黒点の数と株式マーケットの周期関係です。古くは英国の著名な経済学者であるスタンレー・ジェヴォンズが研究した同関係は、ジェヴォンズの業績の偉大さが手伝って、現在でもアカデミックの分野でも度々取り上げられる稀有なテーマなのです
    (※1)

    太陽活動と株式マーケットに相関関係があるのだとすれば、その他の天体の活動と金融マーケットにも相関がある可能性を考えるのは自然ではないでしょうか。また私たちが住む地球は太陽系の一部ですが、万有引力の法則が教えるように二物体間には引力が働きます。したがって地球上で生じる活動に地球外の星々が(その距離が変わることで)影響を与える可能性を示唆すます。そこでここでは、マーケット実務家の間で度々話題となる、天体の活動と金融マーケットの関係性を分析したいと思います。その中でも、今回は月食と日経平均の関係性があるのかについて、ご紹介したいと思います。

    月食とは地球が太陽と月の間に入り地球の影が月にかかることによって月が欠けて見える現象を指します。月食にはその一部が欠ける部分月食と皆既月食の2種類があります。これは月の軌道と地球(およびその影(本影))の軌道が一致しないために、常に本影が月に完全に接触する訳ではないからです。
    2010年以降に生じた月食の一覧が下掲する図表1です。これを見れば明らかなように、月食は一見して分かる周期性を有しているわけではないことが分かります。

    (図表1 2010年以降に生じた月食の一覧)

    (出典:国立天文台)

    では早速この10年弱の間に生じてきた月食と日経平均株価の推移を見ていきましょう。まずは部分月食に着目してみます。

    (図表2 2010年6月26日(土)前後10日間における日経平均の日足チャート)

    (出典:筆者作成)

    最初に2010年6月26日(土)の部分月食前後におけるマーケット動向を図示したのが上掲の図表2です。月食の直前週からその翌週の間で下落トレンドに転換していることが分かります。
    次に2012年6月4日(月)前後の動きを見てみましょう。

    (図表3 2012年6月4日(月)前後10日間における日経平均の日足チャート)

    (出典:筆者作成)

    このときは2010年のときよりも明確に、月食の前後でトレンドが上昇へと転換していることが分かります。とはいえ、図表2は週末で、図表3は週始まりです。
    そこで最後に2017年8月8日(火)を見てみます。このときもまた、下落トレンドの始まりが同日であることが見て取れます。以上をまとめると、部分月食が生じるタイミングが日経平均マーケットでトレンド転換をもたらすタイミングに概ね一致していると言えそうです。

    (図表4 2017年8月8日(火)前後10日間における日経平均の日足チャート)

    (出典:筆者作成)

    では皆既日食の場合はどうでしょうか。

    (図表4 2011年12月10日(土)前後10日間における日経平均の日足チャート)

    (出典:筆者作成)

    (図表5 2015年9月28日(土)前後10日間における日経平均の日足チャート)

    (出典:筆者作成)

    (図表5 2014年10月8日(水)前後10日間における日経平均の日足チャート)

    (出典:筆者作成)

    部分月食のときよりは分かりづらいものの、最初のものではトレンド変換点になっており、後2者ではそれまでの下落度合いが翌日に度合いが大きくなっています。

    以上をまとめると、部分月食・皆既月食ともにその前後では日経平均マーケットの転換が生じていることが分かります。今回見た日程では、部分月食の時点の方がより明確なトレンド転換点となっています。

    では、なぜそうなのでしょうか。
    1つ考えなければならないのが、実はクオンツなどの最新科学の粋を集め、アルゴリズム取引などデジタルの最前線にいる米欧の機関投資家がダメ押しとしてその投資の最後に頼るのが「占い」であるという非公開情報が在るということです。特に西洋占星術への信頼が大きいというのです。
    月食は満月のときに生じます。西洋占星術において満月は「手放し」や「成就」と結び付けられるそうです(※2)。したがって、月食と金融マーケットに関係があってもおかしくはなく、上掲した図表を見る限り、実際に西洋占星術に則って投資している向きが存在する可能性があるということなのです。
    国内・国際情勢で地政学リスクや経済動向のみならず、占いもマーケットを読み解くのに有用かもしれませんね。

  • さらなる金融バブルの到来か?「中国とバチカン」が手を握る意味とは何か。
    さらなる金融バブルの到来か?「中国とバチカン」が手を握る意味とは何か。

    米中貿易戦争が続いている。
    9月24日(米東部時間)にトランプ米政権が追加制裁を実施したことに中国側が反発し、
    閣僚級貿易協議は取り止めとなりました。
    長期化が必須であるという報道が相次いでいます(
    ※1)。
    この二大大国の対立はグローバル経済にとって大変な悪影響があるのは明らかであり、
    特に当事者である中国は大きな被害を受けています。
    では中国はこのまま不況に追い込まれるのか?いや、そうはならない可能性があることをここで議論したい。

    中国は「一帯一路」政策を通じて経済領域の拡大を行ってきました。
    どうしてその必要があったのでしょうか。
    それは、最早中国国内でのモノの需要不足を賄えないからです。
    そのために19世紀の帝国主義的にも近い貸出と自国企業の進出をセットとした経済外交政策を進めてきました。
    しかし、米中貿易戦争が生じたために一大マーケットである米国を失うこととなり、
    サプライ・チェーンが停滞してしまったのです。

    中国が地方債を中心として不良債権を多数有しているのは度々指摘されていることであり、
    そうなると中国におけるマネー・フローがショートしてしまうことになりかねないのです。
    中国はこのまま債務不履行の嵐に巻き込まれて行ってしまうのか。

    ここで中国の救世主になり得るのが、実は『バチカン』なのです。

    9月22日(北京時間)、中国とバチカンが司教任命問題を巡り暫定合意に至った旨、発表されました(※2)。
    バチカンは共産主義国において司教の任命問題を抱えてきました。
    2018年時点でバチカンがこの問題を唯一抱えていた相手というのが中国だったのです。

    カトリックの総本山が中国とどのような関係が?特にどうしてマネーの話とバチカンが?と訝しむことでしょう。
    しかし、実はバチカンは宗教や政治とは異なる別の顔を持っているのです。
    バチカンこそが、「グローバル・マクロ」、つまりグローバル規模での資金循環における根源的なプレイヤーの一人なのです。

    バチカンがグローバルな金融マーケットで大きな力を見せ始めたのはそう昔のことではないのです。
    1929年、当時のローマ法王ピウス11世は権力の全盛にあったイタリアのムッソリーニと「ラテラノ条約」を結びました。
    この条約の中でイタリアは、
    かつて1870年にイタリア王国が教皇領を没収したことに対して当時の価値で約8,500万ドルに上る賠償金を
    バチカンに支払うことを約束したのです。

    それを原資にバチカンは宗教事業協会(IOR)、通称「バチカン銀行」を設立したのです。
    その規模はすさまじく、一時期にはヨーロッパ中の株式が“バチカン・マネー”によって買い占められていたほどでした。
    買収可能な企業がなくなってしまったために
    カトリックの教義に反する避妊具を製造するメーカーすら買収していたというのだから、その規模は計り知れません。

    ところが、こうした「バチカン銀行」の天下もいつまでも長続きしたわけではありませんでした。
    2009年、「バチカン銀行」の内情をリークするある衝撃的な1冊の本が出版されたからです。
    さらには2007年以来、世界中を騒がしてきたウィキリークス事件にあやかった、
    「バチリークス」と呼ばれる各種リークが続出した結果、
    「バチカン銀行」は大幅な改革を余儀なくされてきたのです。
    しかし、バチカンは「バチカン銀行」を縮小するどころか、
    依然として維持しようとしていることが再度暴露されているのです。

    この顛末を踏まえると、そのバチカンが中国と暫定合意を結んだことのインパクトは、
    スキャンダルを受けて次なる投資先を探しているバチカンが次なるターゲットとして
    中国に狙いを定めたことにあるのだと解釈できるのです。

    貿易戦争を通じて、中国の実需筋によるマネー・インフローは減少しています。
    その一方で中国は外資に対するさらなるマーケットを開放しました。
    中国人民銀行の易綱・新行長(総裁)は金融マーケットのさらなる開放を約している。
    そのような中でバチカンからのマネーが入れば何が起こるのでしょうか。

    実需が冷え込む一方で投資マネーが流入する。
    これは円高不況から一挙に平成バブルへ移行した日本と類似した動きであることに注意する必要があります。
    すなわち、いよいよ中国での金融バブルは新たな局面を迎え、さらに拡大していくことが目に見えているのです。

    過熱感が散々謳われてきた香港や上海の不動産マーケット、
    またロンドン・シティとの接続がなされている株式マーケットが更なる上昇を続けていくのか、引き続き注視していきたい。

  • 日本・高金利というシナリオ:日本で金利上昇が発生した際のインパクトとは。
    日本・高金利というシナリオ:日本で金利上昇が発生した際のインパクトとは。

    2018年10月24日、カナダ中央銀行が利上げを決定しました(※1)
    7月以来今年で3回目となるこの利上げを通じて、
    カナダの政策金利である「翌日物金利」の誘導目標が0.25%上がり、年1.75%になりました。

    グローバル規模で「量的緩和終了」や利上げが止まりません。
    特にアメリカ連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げの影響が計り知れないのは、
    いわゆる「リーマン・ショック」以降に連邦準備理事会(FRB)が量的緩和を行った結果、
    エマージング・マーケットを中心にドル建債務を軒並み増大させたことの副作用として、
    IMFやBISは数年前から警告を発していたのです。

    アメリカの政策金利(フェデラル・ファンド金利)の動向を見るのに最適なツールとして知られているのが、
    大手金融取引所であるCMEグループが提供するCME Fed Watch Tool(※2)です。
    これはマーケットが織り込んでいる将来のフェデラル・ファンド金利水準について、
    ファイナンス理論に基づき米金利先物価格から各水準への遷移確率を抽出したものです。
    これによれば、2019年3月20日(米東部時間)に2.50-2.75%の水準にまで上がる確率は、
    本稿執筆時点(25日朝(日本時間))で40%近くになっている。
    金利上昇トレンドがグローバル規模で当たり前になっています。

    他方でそうした上昇トレンドに抗ってきた国がある。
    どこか。日本である。日銀は依然として量的緩和を堅持しているのです。

    しかし、こうした緩和の維持が継続するかどうか不確実になりつつあります。
    量的緩和の意義について疑念が強まっているのは周知の事実ですが、
    緩和維持派に対し新たな向かい風となっているのが22日に日本記者クラブで催された白川方明・前日銀総裁の記者会見(※3)です。

    白川前総裁は任期満了の約1か月弱前に当たる2013年3月19日に突然辞任しています。
    その根本的な理由はその2か月前に内閣府と財務省との連名で日銀が公表した
    「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」(※4)でした。
    日銀の独立性を侵害され、
    また白川前総裁がその有効性に疑問を有していた政策を強要されたことに対する抗議の辞任だったと言われています(※5)
    その白川・青山学院大特別招聘教授が声を上げたのです。量的緩和の維持に対し一段とブレーキがかかりつつあります。

    株を中心に取引している投資家の皆様にとって金利は今一つ遠い世界の話であり、
    せいぜい住宅ローンや自動車ローンに関わるもの程度の認識しか無いかもしれません。
    しかしそれは大きな間違いです。
    金融の根幹にあるのが金利なのです。

    機関投資家は顧客から預かった資金を運用する際、
    通常は借入や債券発行を通じてレバレッジを掛けるのが普通です。
    したがって自らの存続のため、
    目標利率を目指して運用する以前に負債利率を上回る成績を上げることが大前提として求められます。
    機関投資家にとって最低達成ハードルである金利(=調達コスト)が上がれば、
    必然的に目標利率も上げなければ顧客が逃げてしまうのです。
    更に機関投資家は一定期間(たとえば四半期)といった非常に短い期間でリターンを得なければなりません。
    そうなると高リスクな取引を行わざるを得なくなるという訳なのです。

    またファイナンス理論の世界で株式などの金融商品、
    企業自体を評価する場合、「割引」という計算が必須となります。
    このときに用いられるのも金利です。
    金利が上がるとこの割引という処理で企業はそれまでよりも安く見積もられるのです。

    さらに外国との金利差が開いた際に起こるのが「キャリートレード」と呼ばれる取引です。
    簡単に言えば金利の安い国で資金を調達した後、その資金を金利の高い国に持って行った上で運用し、
    最後に運用後の資金を調達国に戻して返済するという運用手法です。
    これが活発化すると為替を揺れ動かすことにもつながります。
    日本では1990年代後半にゼロ金利政策を行った際に円キャリートレードが加速したことで広く知られるようになりました。
    このときには円安要因が円キャリートレードによるものだという議論もなされました。

    ここで重要なのが、上述したことはある1つの前提があるということです。
    それは中央銀行による利上げの決定といった、
    ある意味でマーケットが予測している方向で上昇が生じた場合での議論だという点です。
    言い換えると、急激な金利ショックが生じた場合にはまた別の効果が生じ得るのです。

    金利マーケットにおける最も基本的な金融商品は、
    2010年代の欧州債務危機を経たとはいえ依然として国債です。
    国債は未だに多くの金融取引において担保に用いられています。

    日本国債(現物)保有者のほとんどは日銀も含めた国内金融機関です。
    しかし、短期間で返済が必要な国債(国庫短期証券)は今年6月時点でなんとその6割以上を外国に頼っているのです(※6)
    また国債の運用は満期保有が多いが、その間の価格変動をヘッジするために国債先物が存在します。
    その長期国債先物についても海外投資家の保有割合が多いのです(※7)
    つまり外国人が国債マーケットで仕掛けた場合、国債価格の急騰落が生じる可能性があり、
    それはすなわち金利の「急落騰」を生じる可能性があるということなのです。

    量的緩和の異常が議論されている以上、国債価格の急激な変動にマーケットは敏感に反応します。
    金利急騰というシナリオを念頭に置かなければならないのです。
    ではそのときに株式マーケットで何が生じ得るのでしょうか。

    まず絶対的に注意しなければならないのが、厳密に言えば株式では無いがJ-REITマーケットです
    J-REITはその法的な仕組みの都合上、内部留保を持つことはまずあり得ません。
    つまりショック時にバッファーとなる現預金を殆ど有していないのです。
    またアベノミクスによる量的緩和以降、通常の貸出で利益が望めなくなった日本の銀行は特殊な貸出に注力してきました。
    その中でも有力な貸出先の1つがJ-REITだったのです。
    そもそも日本のJ-REITは他国のREITに比較しても投資法人債と呼ばれる債券や貸出、
    すなわち負債による資金調達割合が非常に高いことで知られています。
    したがって金利の急騰が生じた場合、まずJ-REITが大きな影響を受けるのだということに注意しなければならなりません。

    それに関連し、J-REITの「スポンサー企業」に注意しなければならなりません。
    日本のJ-REITは通常、ある企業が自らのスピンオフする、
    または新規事業として不動産運用を行う目的で組成する場合が多いです。
    J-REITに対する負債投資が拡大している背景には、必ずしも当該J-REITに出資しているとは限らない
    「スポンサー企業」が問題時には保証してくれるだろうという“期待”を貸す側が有していたということがあります。
    したがって、J-REITのスポンサーもこれに合わせて株価下落ということが生じ得るのです。

    もう1つ注意しなければならないのが高レバレッジ企業です。
    高金利になった場合に、変動金利で借金をしている企業が債務負担額を増大させるのは明らかです。
    また前述した様に金利が上昇すると理論的な企業価値が下がるため、
    特に長期間を掛けて利益を上げていくビジネスモデルを有する企業は「割高」であると判定されやすいのです。
    たとえば、いわゆる「カショギ事件」を巡り、
    株価が一時2割も下落したソフトバンク(証券番号:9984)は高レバレッジ企業として知られている(※8)
    タイミングによっては「泣きっ面に蜂」となりかねません。

    個人投資家、特に初心者の場合、金利というものをそこまで重視していない場合があります。
    しかし金利こそが近代から現代に至る今の金融を作り上げる中で根幹の地位にあったということを忘れてはなりません。
    それはすなわち、「金利が株価を左右する危険性がある」ということを忘れてはならない、ということでもあるのです。

  • 熱狂の仮想通貨:ビットコイン・イーサリアムはいつまで高騰がつづくのか。
    熱狂の仮想通貨:ビットコイン・イーサリアムはいつまで高騰がつづくのか。

    暗号通貨(仮想通貨)ビットコイン(BTC:Bitcoin)に続き、イーサリアム(ETH:Ethereum)の価格が高騰しています。
    2021年2月2日に初めて1500ドル(約15万8000円)を突破してから2週間余りで2000ドル(約21万1670円)を突破しました(18日朝)。


    (図表:イーサリアム)
    (出典:
    GMOコイン)

    イーサリアムは去る2013年にウォータールー大学の学生であったヴィタリック・ブテリンにより構想され、
    2014年にプログラミング言語C++で実装されたクライアントがリリース。
    その後2015年に最初のβ版「Frontier」がリリースされました。

    イーサリアムではイーサリアム・ネットワークと呼ばれる
    ネットワーク上でスマート・コントラクト等の履行履歴をブロック・チェーンに記録します。
    イーサリアムはこの履行履歴の記述のための完全なプログラミング言語を持ち、
    ネットワーク参加者は内部通貨「Ether」を目当てに「マイニング(採掘)」と呼ばれる
    ブロック・チェーンへの履行履歴の記録を行うのです。
    この「マイニング」はビットコインでも行われているのですが、これに関連して気になる情報があります。

    2021年1月、ビットコインのマイニングにおいて中国勢、米国勢に次ぐ
    世界第3位のハッシュ・レート(処理速度)イラン勢が仮想通貨マイニング装置4万5000台を押収し、
    更にはマイニング施設を閉鎖するなどしたために世界的なビットコイン取引の混乱が“喧伝”されたのです(参考)。

    そもそもイラン勢はビットコインを米国勢による経済制裁から免れる手段として活用してきました。
    去る2019年7月には仮想通貨のマイニングを合法産業とし2020年11月には同国勢でマイニングされた仮想通貨を
    他国勢からの輸入代金の支払いのために交換することを可能とする法改正を行ってきました(参考)。

    しかし2020年12月ごろには同国勢において大規模な停電が相次ぎ、
    これがマイニングによって大量に電力を消費するためであるとの説明がなされたのです。

    そして2021年2月18日(米東部時間)、
    米国勢の半導体メーカー大手NVIDIA社がイーサリアム専用のマイニングプロセッサーの発売を発表し、
    来月にも世界的に発売される旨、中国勢系メディアにより“喧伝”されました(参考)。

    当該プロセッサーはピーク・コア電圧と周波数が低いためマイニングの電力効率が向上され、
    さらにこれまでマイニングにおいて既存のゲーム用のグラフィック装置が使われていたことによる
    既存製品の供給不足を解消する狙いがあるとされています(参考)。

    特にこのマイニング専用製品の需要が高いと考えられるのが中国勢でなのです。
    中国勢において仮想通貨は基本的に禁止されているものの、
    世界で最も多くマイニングを担っているのも中国勢なのです。

    しかし2020年11月には中国勢当局による暗号資産に対する規制の強化により
    マイナー(暗号資産の採掘者)がビットコインなどを人民元に交換できず
    電気料金が払えなくなっている旨“喧伝”されました(参考)。
    更に2021年2月には中国勢においてイーサリアムのマイニングのため
    マイナーがゲーミングPCをまとめ買いしゲーマーと奪い合いになっている旨“喧伝”されています(参考(1) :参考(2))。

    こうした状況に鑑みればNVIDIA社のマイニング専用製品は
    第一に中国勢のマイナー向けであるのではないでしょうか。
    そしてイラン勢におけるマイニングによる電力不足の“喧伝”やイーサリアムの高騰は
    こうしたマイニング専用商品の発売のためであったとも考えられるのです。

    他方でイーサリアムは「イーサリアム2.0」と呼ばれる大型のアップデートを進めており、
    このアップデートにおけるアルゴリズムの移行によりマイニングは不要となり、
    したがってマイニング専用商品はすべて使われなくなる可能性があるのです。

    仮想通貨を巡る更なる転換が中国勢を中心に起こっていくことになるのかどうか。

    引き続き注視していきたいと思います。


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